12月21日、電通・MCプランニング局MCプロデュース室・前田淳子氏を招き、宣伝会議スチューデントクラブ(以下、SSC)会員限定セミナーが開催された。セミナーには広告業界への就職を目指す大学生が参加。氏の語る業界の現状や業務の心構えについての話に、熱心に耳を傾けた。
広告界における雑誌メディア
デジタルメディアの浸透により、新聞や雑誌などの印刷メディアは苦戦を強いられている。しかし「雑誌には、発行部数などの数値だけでは測れない、現代ならではの魅力がある」と前田氏は語る。1993年電通入社後、主に雑誌を中心としたメディアプランニングや広告企画に携わってきた前田氏だが、氏はこれまでの経験を踏まえ「70年代の雑誌は読者にとって流行を教える先生のような役割であったが、今は読者を理解し、読者の目線に立った雑誌づくりが求められている。多様化した読者の嗜好に合わせ、よりセグメント化された雑誌が多く刊行されている」と話した。
さらに「現代の雑誌には4つの型がある」との指摘も。一つ目は新しいライフスタイルの提案を行う「オピニオンリーダー育成型」。2つ目は後発ではありながらも流行を拡大する「マーケット拡張型」。3つ目は「DNA継承型」。これは「働く女性を応援し続ける」というテーマのもと、20代には20代向けの、40代には40代向けの雑誌を、まさに「ゆりかごから墓場まで」各世代に適した雑誌を刊行しているタイプ。4つ目は海外でブランディングされた「モード誌」。すべての型の雑誌が必ずしも多く売れるわけではないが、それぞれが型に合った役割を担っており、欠くことができないという。
ユニークネスとストロングネスを見出すこと
また雑誌と広告会社の関わりについて、自身が関わった資生堂UNOの「FOGBAR(フォグバー)」を具体例に出し説明。フォグバーは、ただの整髪剤ではなく「ゆるやかに生きたい」と考える若い男性へ向けた、ライフスタイルの提案だという。クリエイティブディレクター佐々木宏氏がイメージ戦略・CM制作を統括し、前田氏は、佐々木氏と雑誌『MEN’S NON-NO』編集長日高氏との間を取り持った。
しかし、ただ間を取り持つだけでは、伝言ゲームになってしまい意味がないと前田氏は言う。「雑誌にユニークネスとストロングネスを見出すこと、そしてそこにクライアントが抱える課題をマッチングさせ、コーディネイトすることが大切」。間に入るには、多くの雑誌が持つ特有の魅力を見抜き、そこに自分なりのアイデアを足して提案していかなければならない。自分なりのアイデアを持つことの重要性について、「今の時代では、クリエイターでなくともクリエイティビティーが要求されるし、それがないと通用しない」と語った。
また、仕事上での心構えについて質問された氏は、「自分と分野が違う人とも積極的に会うこと。そして相手を理解し、自分の考えを発信すること。その積み重ねがいつか仕事につながる」とアドバイスした。
※マスコミへの就職を目指す学生向けの会員制クラブ
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