次の有力市場「キッズスマホ」に求められる機能とは

子供向けスマートフォンは未開拓領域

2012年に入ってもスマートフォンの勢いは止まらないどころか、ますます加速しているように感じられる。特に社会人や就職活動を意識した大学生を中心に、スマートフォンが浸透してきていると感じる。

NTT docomo キッズケータイ HW-02C


au ジュニアケータイ K001


Softbankコドモバイル 740N

一方で、機能を単純化した子供向けの「キッズケータイ」(NTTドコモ)、「ジュニアケータイ」(au)や通話機能に絞ったシニア向けの「らくらくホン」(NTTドコモ)や「簡単ケータイ」(au)、「かんたん携帯」(ソフトバンク)を見てみると、まだスマートフォンの機種は見当たらない。確かに、アプリをインストールしたり、タッチパネルが基本で操作が複雑なスマートフォンはシニア向けには向いていないかもしれない。しかし、子供向けに関しては可能性があるのではないだろうか。むしろ、そろそろスマートフォンしか触ったことの無い「スマホネィティブ」が現れてもおかしくないと考えている。

子供向けの携帯に必要な機能はいくつかあると思うが、現状でスマートフォンがそれを満たしているか検証してみたい。まずは、直感的なUI(ユーザーインターフェイス)であるが、これは現在のアイコンの配置やアイコンの大きさを調整すれば達成可能であると考える。次に、子供の行動監視のための位置情報取得であるが、多くのスマートフォンがGPS機能を備えていることを考えると問題ないであろう。有害情報から守るフィルタリングであるが、こちらに関しては2011年10月28日に総務省により「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備に関する提言」が発表されているほか、既にPCやフィーチャーフォンで培ったノウハウを導入するのが良いであろうし、既にサービスとして立ち上がっているものがある。また通話やメールの送受信制限に関してはキャリアが制限するのが良いのではないだろうか。ここまで見ていると、大きな問題は無いように思えるが、個人としてはかなえてもらいたい機能がいくつかあるので紹介したい。

ポイントは「丈夫さ」と「管理権限」

まずはハード面での筐体の強化、特に液晶の破損に関する対策が必要と感じる。子供の生活シーンを考えると大人より運動量が多く、いたずらや誤操作などによって「壊してしまう」事をまず心配することになるだろう。特に液晶が壊れやすいようであるので具体的には「落としても安全」「濡れても大丈夫」といった安心感が必要であると考える。

次に、携帯の各種オペレーションの権限を2段階にすることが必要ではないだろうか? 具体的には携帯の大元の設定ができる「管理者モード」と利用に関する設定に限定した「利用者モード」が必要であると考える。利用者である子供が勝手にインターフェイスやフィルタリングの変更やアプリのインストールができないようにすることが必要であろう。子供向けの携帯に関しては、一時期話題になった「カレログ」や「サーベラス」などのアプリが個人情報などの問題はあるがぴったり来るケースもあるだろう(筆者コラム「スマートフォンアプリの機能向上による、プライバシー管理について考えてみた」参照)。

今回は子供向けスマートフォンの機能面の話に終始したが、ハードやソフトが進化してもやはり、利用者のリテラシーが上がらないと仕方が無い。また、子供とはいえプライバシーはあるので、提供する親と子供がきちんと話し合ってお互いの納得の上で、利用することが必要であると考える。また携帯やスマートフォンの持ち込みを禁じている学校も多いと思うが、今後の生活には欠かせないツールであるので、きちんとした利用の仕方を教育のもとで啓蒙してゆくことも必要ではないかと感じている。

江端浩人「i(アイ)トレンド」バックナンバー

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江端 浩人(事業構想大学院大学教授)
江端 浩人(事業構想大学院大学教授)

米ニューヨーク・マンハッタン生まれ。米スタンフォード大学経営大学院修了、経営学修士(MBA)取得。伊藤忠商事の宇宙・情報部門、ITベンチャーの創業を経て、2005年日本コカ・コーラ入社、iマーケティングバイスプレジデント。2012年9月から日本マイクロソフト業務執行役員セントラルマーケティング本部長。2014年11月よりアイ・エム・ジェイ執行役員CMO。2017年3月ディー・エヌ・エー(DeNA)入社。現在、同社執行役員メディア統括部長兼株式会社MERY副社長。

日本コカ・コーラ在職中は、同社が運営する会員制サイト「コカ・コーラ パーク」を開発し会員数約1200万人、月間PV約10億を誇る巨大メディアに成長させた。

日本アドバタイザーズ協会Web広告研究会が主催する「Webクリエーション・アウォード」で、2010年度の最高賞「Web人大賞」を受賞。2014年に日経BP広告大賞を受賞。2012年4月に開学した「事業構想大学院大学」の教授に就任。日本マーケティング学会会員。

江端 浩人(事業構想大学院大学教授)

米ニューヨーク・マンハッタン生まれ。米スタンフォード大学経営大学院修了、経営学修士(MBA)取得。伊藤忠商事の宇宙・情報部門、ITベンチャーの創業を経て、2005年日本コカ・コーラ入社、iマーケティングバイスプレジデント。2012年9月から日本マイクロソフト業務執行役員セントラルマーケティング本部長。2014年11月よりアイ・エム・ジェイ執行役員CMO。2017年3月ディー・エヌ・エー(DeNA)入社。現在、同社執行役員メディア統括部長兼株式会社MERY副社長。

日本コカ・コーラ在職中は、同社が運営する会員制サイト「コカ・コーラ パーク」を開発し会員数約1200万人、月間PV約10億を誇る巨大メディアに成長させた。

日本アドバタイザーズ協会Web広告研究会が主催する「Webクリエーション・アウォード」で、2010年度の最高賞「Web人大賞」を受賞。2014年に日経BP広告大賞を受賞。2012年4月に開学した「事業構想大学院大学」の教授に就任。日本マーケティング学会会員。

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