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コラム

i(アイ)トレンド

スマートフォンアプリの機能向上による、プライバシー管理について考えてみた

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「恋愛支援」をうたったスマートフォン向けアプリ「カレログ」 が9月13日に新バージョンをリリースし、「以前のバージョンをご利用のお客様はサービスのご利用ができなくなります」と発表した。これはアプリのプライバシー保護に関してユーザーや各種団体より意見が多かったことや、一部セキュリティソフトにウイルス認定されたことなどに対応したものであるという。

カレログのサービスに登録し、GPS機能を搭載しているアンドロイド端末(OS2.2以降)にカレログアプリをインストールすると、利用者のパソコンからアプリがインストールされた端末の居場所や電池の残量、さらには通話履歴までわかってしまうという。8月29日にリリースされたばかりのこのアプリはサイトで利用者の同意を取ることをうたっていたものの、利用者の同意が無くてもインストール可能であったため、所有端末メールアドレスの確認を行うこととした。

また、相手の通話記録が閲覧可能なプレミアム会員制度を中止し、個別のユーザーに返金するなどの対応を行っている。ネット上では「怖すぎる」「彼女にインストールを頼まれたら断りづらい」といった声が出ており、ついには自分の端末に「カレログアプリ」がインストールされたかの確認ができる「カレログチェッカー」というアプリも登場したほどである。

では、なぜ今まで個人のプライバシーが筒抜けになる可能性のある、このようなサービスが無かったのか。その大きな理由の一つが通信業者や端末メーカーによる自主規制である。

例えば位置特定サービスは端末のGPSや基地局情報を活用したものであり、これは従来から携帯端末(フィーチャーフォン“FP”)にもついていたものである。ただし、FPでは位置情報を送信するたびに「位置情報をサービス提供業者に送信しますがよろしいですか?」といった確認が取られる仕様になっており、子供用の位置情報提供サービスでは携帯電話で事前に利用契約を行っている。

また、FPにも通話履歴がわかる「ライフログ」というサービスが従来より存在するが、これは自分の端末で見られるだけで遠隔のPCで参照できるようなことは許可されていなかった。ライフログは自分の行動履歴の大部分が記録できる利便性があるものの、第三者にこの情報が見られると問題が生じる可能性がある。さらにFPなどにインストールするアプリは通信業者や端末メーカーの事前審査を通じて、プライバシーに配慮してきた一方、今回問題となっている「カレログ」アプリは審査の無いAndroid Marketで配布されたものである。

アンドロイドマーケットでは業者が規制するのではなく、ユーザーが評価することにより、安全性を担保しようとしている。


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筆者は今回のケースは大きな教訓とともに、大きな可能性も秘めていると考えている。例えば同じくAndroidマーケットにあるCerberus(サーベラス) というデバイスの盗難防止アプリでは以下の機能が搭載されている。

  • 通話履歴の閲覧
  • GPSの取得
  • カメラの遠隔撮影
  • こっそり音声録音
  • 端末のロック
  • 警告メッセージの表示
  • 登録済みのSIMカード以外が挿入された際に警告
  • 内蔵メモリ/SDカードのデータの削除
  • アプリケーションの秘匿化(アンインストール防止)

第三者にインストールされると盗撮や盗聴に利用される可能性も潜んでいるソフトウエアであるが、万一盗難にあったり紛失したりした場合に頼もしいソフトである。FPではこのような機能は通信業者によって提供されていることが多かったが、現在は市販のソフトとして審査なしで流通している。また、カレログの運営会社では「弊社では位置情報共有新サービスとしまして、皆さんのご意見、強いご要望が多かった、ご家族(お子様など)を見守ることができる、家族で情報共有できる新サービス、「ファミログ」(仮題)を企画制作しております」と書かれている。

このように、携帯の機能を使ったサービスは使い方によっては諸刃の剣となるので、利用される際には十分に注意するとともに、勝手にインストールされることの無いようにパスワードを設定するなど端末の安全性に配慮する必要があるだろう。

江端浩人「i(アイ)トレンド」バックナンバー

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