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コラム

ソーシャルメディア活用先進企業に聞く

【ソーシャルメディア活用(3)ローソン】「入り口はソーシャルメディア、出口は店舗でポイント会員へ」

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店舗オーナーに説明するため、社員の利用が進んだ

――効果検証はどうなさっていますか。

白井 効果指標を定量化して毎週レポートにまとめて報告しています。使える効果検証ツールは全て使ってデータを出しています。ただ、それを業務に活かすという意味では、ツイッターであれば商品開発やコールセンターのカスタマーサポートに活かす、というような形で、ソーシャルメディアの特性を踏まえて考えるようにしています。

一例を挙げると、商品開発に関しては、ツイッターの検索でローソンというキーワードで検索し、同時にどのようなキーワードが含まれているか分析しています。分析することにより、どのような消費者ニーズがあるのか常に考えて取り組んでいます。

――ネガティブな反応にはどのように対応していますか。

白井 カスタマーセンターに問い合わせなどがくることはありますが、ツイッターでは「あきこちゃん」という名前を付けていることもあってか、あきこちゃんに対して厳しいご意見をいただくことはあまりありません。

日頃からログや検索で目を凝らしているので、よくない風評などが起きてもすぐに検知できるような体制をとっています。担当者以外でも、社内では社員がソーシャルメディアを使っているので、社内の誰かからアラームが上がります。ソーシャルメディアを利用する上で、早めにケアをすることが大切だと思います。

――社内での利用は方針として始められたのですか。

白井 一斉に始めたということではありませんが、施策としてソーシャルメディアクーポンを始めた時に「社員がソーシャルメディアを知らないと店舗オーナーに説明することが出来ない」という話になって、その時に利用していなかった社員も始めたという話を聞いています。ソーシャルメディア施策に連動して、社内での利用が増えたという流れですね。

――「ソーシャルメディアクーポン」を導入した際の店頭でのオペレーションはどのように行っていますか。
白井 もともとPonta(共通ポイントサービス)の特典として、貯まったポイントを利用して店頭端末のLoppiで発券する「お試し引換券」というサービスがあります。「ソーシャルメディアクーポン」もLoppiから発券されるので、お店の人も「お試し引換券」と同じ要領で行うことができました。

――「けいおん!」などのアニメとのコラボをなぜ行おうと思われたのですか。

白井 アニメとソーシャルメディアは親和性が強いと考えています。ツイッターでつぶやかれるハッシュタグの上位はアニメのもので占められており、親和性は高いと思います。これは他の調査でも分かっており、ソーシャルメディアで情報を伝えるのであれば、「このおにぎりおいしいですよ」と言うよりも、「けいおん!の唯ちゃんかわいいよ」と言った方がリツイートの数も大幅に増えますし、よりお客様に伝わるのではないかと思います。

――「みんなでつくる〜」を冠したキャンペーンを多く展開されているのはなぜでしょうか。

白井 お客様と一緒に作ることで、ローソンへの愛着を持っていただこうと考えています。「みんなでつくるソーシャルメディアアイドル」キャンペーンでは、イラスト投稿サイト「pixiv」と音声投稿サイト「こえ部」でデザインと音声を募集し、ユーザーのみなさんの声を反映しつつ、キャラクターを作りました。
このような取り組みは今後も継続的に展開しつつ、「みんなでつくる〜」にはこだわっていきたいと思います。

――これらのソーシャルメディア施策の目指すゴールは何ですか。

白井 前述の通り、弊社ではさまざまな施策を行っていますが、CRM(顧客関係管理)の根幹に共通ポイントサービス「Ponta」を位置づけています。まずは、ソーシャルメディア上でのコミュニケーションを通じてお客様が店頭へ来店されるきっかけを作り、店頭ではお客様に「Ponta」会員になっていただく。そして、「Ponta」の販促、施策で継続的な来店へとつなげるという流れを作っています。ソーシャルメディアでローソンへの入口を開拓し、出口は「Ponta」につなげるイメージですね。

――引き続きソーシャルメディアを活用して、それぞれに合った企画を積極的に提案されていくという感じでしょうか。

白井 そうですね。さらに店舗のインフラにも進展があるので、それにあわせて今後面白い企画も出てくるかなと思います。あとはソーシャルメディアだけではなくて、新たな来店手段を提案していきたいです。ソーシャルゲームも興味はありますね。

――インタビュー雑感

ローソンさんは、非常に多くのソーシャルメディアに積極的にチャレンジしていらっしゃいます。ですが、ただやみくもに数多くトライすればいいというわけではなく、それぞれの「特性」を考えた上でそれぞれにあった企画を立案し、また相互の効果を考慮しながら、ソーシャルメディアを利用していくという姿勢を白井さんのお話から感じました。

また、複数のソーシャルメディアを利用する上では、「一貫性」も不可欠でしょう。ローソンさんの場合はどのソーシャルメディアや企画の取り組みをお伺いしても、最終的には「Ponta」への誘導というゴールとして設定されていることも白井さんのお答えから感じました。「特性の考慮」と「一貫性」がローソンさんの取り組みの重要な鍵であるのでしょう。(アジャイルメディア・ネットワーク)

インタビュー担当:AMNインターン 青山学院大学経営学部 芳賀ゼミ 糸井佑樹、人見彩菜

次回(2月27日)はユー・エス・ジェイです。

高柳 慶太郎「ソーシャルメディア活用 先進企業に聞く」バックナンバー