コラム

最新米国小売業からプロモーションをハカる。

米国の商品パッケージ アナログな持ち味とデジタルを使った新しい魅力

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商品の購入時点の意思決定や、その商品を長く利用してもらうためのファンづくりにも、商品パッケージやケースのデザインはとても大切なファクターになります。マス広告も様々なセールス・キャンペーンによるアプローチも、買物客との最後の接触は、手に取る商品の「パッケージ」になります。今回は米国の飲料を中心に、このパッケージについてアナログとデジタルを使ったそれぞれの魅力についてハカります。

パッケージのことを考える際に、ジャンルは異なりますが、装丁家・ブックデザイナーの「名久井直子さん」の名前が頭に浮かびます。ブックデザイナーの仕事は、カバーから帯のレイアウト、表紙からノンブルまで実に細かな部分の積み重ねです。

以前、TBSの「情熱大陸」でも彼女の仕事が特集(2010年9月26日放送)されていたことがあり、その中でアイデアを形に変えるこだわりやパワーの持ち方と一緒に「本の育て方」の様なものを感じました。主役は本自体であっても、それを最大に引き上げる<装丁家>の仕事がそこにあり、本の魅力というのはすべてが合わさるものと思いました。これは、広告の表現やマーケティング活動における効果や取組みにおいても、通じるものがあります。

米国における飲料のパッケージについて

今回、米国の流通小売業のソフト飲料とビールの売り場を中心にハカってみました。小売業におけるソフト飲料の売り場の印象は、以下の写真の様にカラフルでなんとなく化粧品の陳列のイメージを持ちます。パッケージは、思わず「手触り感」を試したくなるようなデザインが多く、また商品がそこにあることで、陳列ケース内の「空気感」がふわっと変わる気がしました。日本の飲料のパッケージ全体から受ける印象を、ひとことで表すなら「シズル感」米国は「美」という単語が浮かびます。 

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また、ビールの売り場では、「手書き風」のパッケージ・デザインが多く(ビールは大抵 6瓶以上のケース売りが主流。日本の様にひと瓶ごとの売り方は少ないです)手作り感や「カントリー」といった言葉が思わず出る、長閑でそれでいて味わい感までが伝わってくるものでした。スーパーマーケットで扱うビールの種類の豊富さと、缶よりも圧倒的に瓶の方が多いことも日本との違いです。

米国では、日本のパッケージに比べて色使いに淡い色や、反対にメリハリのあるデザインが多く見られるほかに、前述の「手に触れたくなるパッケージのフォルムや材質」へのこだわりが目を引きます。

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商品と売り場を育てるのは誰か?

そして、もう一つこれらの商品を引き立てる役割に「売り場における整然とした陳列」があります。ここに載せた写真は、すべてウィーク・デーのお昼時の様子です。買物客に高い評価を得ているお店では、売り場で買物をしていると20分~30分間隔に一度、必ず店員さんやスタッフが売り場を訪れ、商品の前出し(棚の空いているスペースに商品を並べてそろえたり)や買物の後の乱れた売り場を整理して行きます。

これは日本に比べて米国の売り場で働くスタッフの数が多いという理由ではありません。「商品と売り場を育てる」小売業とメーカーの両者にとっての課題であり、それが一致すると「売上」や「集客」といった大きな成果が期待できるからです。

デジタルを使ったパッケージの新しい魅力

デジタル機能を使ったパッケージの魅力について紹介します。米国の商品キャドバリー(Cadbury)のチョコレートバーのキャンペーンでAR(拡張現実)を使用して話題を集めたものがあります。スマートフォンを通してパッケージを見ると、AR機能により「パッケージがゲームになる仕組み」です。

ここではアヒルのキャラクターが、パッケージの上下から飛び出して、時間内にアヒルを指でタッチして、その回数を競うゲームで(モグラ叩きゲームみたいなもの。ハンマーの変わりに指でタッチする)TwitterやFacebookに投稿ができる仕組みです。ARを使ってゲームのできるパッケージ「次世代型のプロモーション」の手法の一つとしても大きな可能性が持てます。

ソフト飲料やビールのパッケージそのものが魅力をアピールするものと、デジタルを使うことで新しい魅力をつくる「米国流通小売業のパッケージ事情」について触れてみました。

パッケージの10の役割

最後に、パッケージとは何か。10の役割として簡潔に紹介した文章があったので紹介します。

  • 容れ物/輸送容器:箱、瓶、袋、缶など。機能性が需要。
  • 保護:中身の製品や消費者、環境を保護する。
  • 使い勝手:消費者が扱いやすいようにする。
  • 注意を引く(棚でのインパクト)。
  • イメージ構築:表示、文書、コピーによってブランドイメージを補強、改善する。
  • 取扱説明:商品の使い方を伝える。
  • 教育・啓蒙:脂肪分などの含有量、成分表示などの情報を伝える。
  • 目安:買換えの時期を知らせる。
  • 再生:リサイクル等再利用に使う。

そして、

  • コミュニケーション:ブランド・アイデンティティと、その商品は何のためにあるのかを伝える。

  (「買う」と決める瞬間 著者:Herb Sorensen)

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