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2011年度企業広報大賞を受賞したヤマトホールディングスの復興支援リリースを公開!

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広報会議の人気連載コーナー「新任広報のためのプレスリリース道場」に掲載している記事の一部を公開。広報の第一歩である、メディアへのプレスリリースの書き方を学びたい方にオススメのコンテンツです。

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企業の復興支援をいかに的確に伝えるか

「広報会議」2011年7月号掲載 連載「新任広報のためのぷれすリリース道場」より

(執筆者)
井上戦略PRコンサルティング事務所・代表
井上岳久 氏

1968年生まれ。フードテーマパークを「年間200以上のリリース」という独自の手法で復活させたPR戦略コンサルタント。月刊『広報会議』の人気連載「新任広報のためのプレスリリース道場」を執筆しているほか、宣伝会議が主催する「リリース作成講座」や「広報担当者養成講座」の講師としても活躍。

震災後には各企業が支援活動に乗り出しており、あまり知られていませんが、300社以上が何かしらの寄付行動を行なっています。その中でもメディアで多く見かけたヤマトホールディングスの「宅急便1個につき10円の寄付決定」リリースを、今月は取り上げたいと思います。

リリース全体を見ると、1. 支援理由 2. 支援内容 3. 参考情報と、分かりやすい3部構成になっています。中でも寄付の内容でなく理由から始めて、大きく紙面を割いているところに「慎重さ」が表われています。もし先に「総額約130億円」のような目立つ数字が来ていたら、「好感度アップで引き受け個数増を狙う便乗商法だ」という見方をされる恐れもあるでしょう。それを最低限に抑えるためにも、支援に至った理由や企業の姿勢をきちんと説明して理解を得ることが、支援リリースには重要です。飾り気のない、文字だけのシンプルな見た目も、このようなCSRには適しています。

続いて2枚目で支援の規模を明示しました。いつも言うことですが、具体的な数字が最も目立ちます。支援内容を広く知ってもらって消費者に活用してもらうのが目的なのですから、理解を深める数字は明示した方がいいでしょう。そして予想金額の根拠として、平成22年度の取扱個数を載せました。ただ「13億個」と言われても漠然としていますが、こうした表になっていれば説得力がありますし、ずっと文章だけで来ていたので、心理的に一息つかせる働きもあります。

また〈参考〉として、復興支援に向けた他の取り組みにも触れています。1つ目の「救援物資輸送協力隊」については前ページでも触れましたが、特に気仙沼では行政がヤマトに輸送の指示系統を全面的に委ね、自衛隊もヤマトの指示の下に動くという異例の事態になりました。当初は2週間だけの予定でしたが、5月以降も続行するようです。3つ目の「社員による復興支援活動の推進」は、例えば有給で従業員がボランティア休暇を取れるなどの取り組みです。これらがあることで、130億円の支援がスタンドプレーではなく、様々な支援の一環であることを伝えています。

慎重を期しながらスピーディーに対応

こうして見てくると、このリリースが何重にも慎重を期したものであることが分かると思います。良いことをするのに気を遣わなければならないのは理不尽な気もしますが、PRは〝諸刃の剣〞的な性質がありネガティブな報道をされることがあることを考えると、致し方ありません。CSR、ことに支援のリリースはデリケートなものなのです。

それにしても今度の災害は、多くの広報担当者にとっても初めての経験で戸惑うことも多かったでしょう。ヤマトホールディングスではホームページも広報の管轄でした。例えば「荷受地」を「荷物を出される場所」にするなど、誰が読んでもわかる平易な文章に直し、日々変わる荷物の受け入れ体制を更新し続けるなど、地震発生から1か月はほぼ休日返上だったそうです。またグループ会社のヤマト運輸からは広報担当者が1人、仙台に駐在し、現地メディアや、東京から取材に来たメディアへの対応を行なったそうで、ここまでの対応が出来た企業はそう多くはなかったのではないでしょうか。

メディアによく取り上げられた一つの要因は、これらのスピーディーな対応にあるでしょう。以後に同様の支援を表明した企業のほとんどは取り上げられていないのが実情で、「広報はスピードが命」です。そしてもう一つはポリシーのある支援だったこと。同社には4月18日現在で電話、手紙、Eメールを合わせて約70件、消費者からのお礼や激励が届いているとのことです。

リリースの配信数は国土交通省記者クラブでの会見・配信を含めて165社程度。新聞17紙、ウェブ20件の他、テレビ東京の『カンブリア宮殿』やTBSの『Nスタ』などでも取上げられました。ただ、1年間を通じて長く支援していくのが同社の意志です。「今はまだ消費者への認知度は少ない。これからの3ヵ月が勝負です」と丹澤さんは気を引き締めていました。

※完全版は広報会議2011年7月号にて、もしくはダウンロードサービスをご検討下さい。

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