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ハイレベルなエコ家庭にも盲点!無理なくできる省エネ・技をうちエコ診断員が伝授

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環境省の「うちエコ診断」では、全国の窓口で受けられる窓口診断のほか、診断員に自宅に来てもらう訪問診断も行っている。7月、民間企業としてうちエコ診断事業に参加するおひさま進歩エネルギー(長野県飯田市)の牧内文隆氏が、飯田市が提案するエコハウスに住む森本政人さんのお宅を訪問診断した。もともとエコな家庭にはさらなる省エネの余地はあるのだろうか。

自然の恵みを活かした「エコハウス」を提案する飯田市

南北に長い長野県でもっとも南にある飯田市。JR飯田駅から程近いりんご並木のエコハウスは、市が掲げる「環境文化都市」を象徴する木造の建物だ。ここを訪れると、自然環境に恵まれ、寒暖の差が大きい南信の暮らしに適したエコな暮らしのモデルを体感できる。

太陽光発電で電気をつくり、太陽熱を利用して給湯、ペレットストーブと木質バイオマスで冬場の暖房を行うこの家は、現在普及している技術だけで、自然の恵みを活用しながら、エネルギー消費をおさえた暮らしができることを証明している。都会の住宅事情では、一般的な住宅に太陽光パネルと太陽熱温水器の両方を設置するのは物理的に難しいし、遠くから木材を運んでくるとなると高価なものになってしまう。

しかし、JR新宿駅西口からの高速バスで、飯田駅前に着くまで、車窓から見える家々や緑の森を眺めていると、この地域の大きな家に、太陽光パネルと太陽熱温水器をつけ、暖房にペレットストーブを使うのは、とても合理的だと感じられる。

初期投資ゼロ円で太陽光パネルを設置

木造断熱エコ住宅に建て替え太陽光、太陽熱、薪ストーブ導入済おひさま進歩エネルギーの「うちエコ診断」を受診する森本政人さんは、数年前に家を建て替えた。太陽光発電の導入には、おひさま進歩エネルギーの「おひさま0円システム」を利用した。これは、初期投資ゼロ円で太陽光パネルを設置できる方法で、購入者は9年間月々19800円を支払い、10年目以降は譲渡となる。9年間は省エネ努力して売電量を増やせば月々の負担を減らすことができ、10年目以降は発電分がすべて収入になる。


森本さんのお宅の屋根には太陽光パネルと太陽熱温水器。夏は給湯のエネルギーはほとんど不要。冬も晴れていれば少し温めるだけで十分だという。

薪ストーブ。家全体を暖め、消した後も残り火でずっと暖かいという。

この方式は既築の住宅を省エネリフォームする場合などにメリットが高い。太陽光パネルへの初期投資がゼロの分、ペアガラスなど、ほかに投資でき、その分で売電収入を増やすことができるのだ。また、9年間は定期的にメンテナンスを受けられる点も魅力だ。住宅用の太陽光パネルでは、木の葉や洗濯物などがパネルの上に落ちて発電量が大幅に落ちたまま放置されているケースもあるため、設置後の管理も重要なのだ。

エコな住宅、エコ意識の高い家族、それでもまだ見つかる削減方法

おひさま進歩エネルギーの牧内文隆氏がテレビの設定をチェックしてみると、省エネ設定が標準になっていた。そこで、消費電力を落とした省エネ設定に。

訪問診断を受けた森本さんご夫妻。もともと2世帯で電気代7000円代(ガスはなし)とかなりの省エネ家庭だが、うちエコ診断で、テレビの設定を変えるだけで無理なく省エネができることがわかった。

「おひさま0円システム」を利用して太陽光パネルを導入した森本さんにとって、省エネは地球環境問題やエネルギー問題のみならず、家計にもプラスであるため、まだどこかにムダはないか、それを探すために今回「うちエコ診断」を受診することに決めたという。

とはいえ、森本さん夫妻と娘さん夫妻の大人4人で、月々の電気代は7000円代しかない。果たしてこれ以上の節電はできるのだろうか。おひさま進歩エネルギーの牧内文隆氏が実際に森本さんのお宅を訪問して診断を始めてみると、森本さんの家庭では、住宅の省エネレベルはすでに相当高いが、シミュレーションソフトを使って長野県内で同じような家族構成等の条件の世帯と比べてみると、100世帯中の順位は40位代であることがわかった。

家族4人が通勤にクルマを使っていることもあってガソリン消費によるCO2の排出量がどうしても多くなってしまう。この地域ではクルマは生活必需品。そこで、削減策として、森本さんは、晴れた日にはできるだけバイクに乗り、クルマに乗る場合もエコドライブに努めているという。また、奥さんは、バイクや自転車での通勤も考えたが、坂道で安全上の不安を覚えたこともあり、いまでは燃費のいい軽自動車に買い替えて通勤しているという。

このように、診断を進めていくと、環境意識の高い森本さんご夫婦は、大きな設備投資だけでなく、細かい「エコ」も実践済であることがわかった。

そこで、もう一度家の中を点検することに。エアコンは設置してはいるが、冬は薪ストーブで家全体が温まるので使わず、夏もよほど暑い日でも窓を開ければ爽やかな風が入るため、ほとんどつけることはないという。また、冷蔵庫や洗濯機もそれほど古くはなく、買い替えるほどでもないことがわかった。リビングの照明には白熱球を使っているが、こちらは木の質感を生かしたデザイン上の観点もあり、蛍光灯やLED照明に変えるのはもう少し先にしたいとのことだった。

最後に残された削減余地がテレビだった。森本さん夫妻と娘夫婦が別々にテレビを見ており、その時間がけっこう長い。エコ重視なら一緒に見ればいいということになるが、2世帯がひとつの家で快適に暮らすには、プライバシーも重要だ。

そこで、牧内氏は、テレビの設定を省エネモードにすることを提案。実際にリモコンで設定を変えて明るさを確認してみると、1段階暗くしても問題ないことがわかった。これによりテレビの消費電力を1割程度削減できる見込みだ。

うちエコ診断で環境文化都市、飯田の魅力に磨きをかける

おひさま進歩エネルギーでは、今年度100件のうちエコ診断を目指す。同社では、もともと企業向けに省エネ提案を行うエスコ事業を手掛けてきた。また、太陽光発電や水力発電による自然エネルギーファンド、カーボンオフセットやグリーン電力の販売など、環境・エネルギーに関する先進的な事業でも知られる。

うちエコ診断をきっかけに、今後は住宅の省エネ事業にも力を入れていく方針だ。
「電球の付け替えにも苦労している高齢者の方もいる。地域のニーズに応えながら、環境文化都市、飯田の魅力を高めることにも貢献したい」と牧内氏は語った。

うちエコ診断に参加する民間企業の取組みは『環境会議』2012年秋号(9月5日発売)でお読みいただけます。

『環境会議2012年秋号』
『環境会議』『人間会議』は2000年の創刊以来、「社会貢献クラス」を目指すすべての人に役だつ情報発信を行っています。企業が信頼を得るために欠かせないCSRの本質を環境と哲学の二つの視座からわかりやすくお届けします。企業の経営層、環境・CSR部門、経営企画室をはじめ、環境や哲学・倫理に関わる学識者やNGO・NPOといったさまざまな分野で社会貢献を考える方々のコミュニケーション・プラットフォームとなっています。
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