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コラム

東奔西走 関西の編プロ社長奮闘記

編集とは行儀ではないかという仮説

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編集という作業は実のところ変化に乏しくかつ平坦な作業で、感性などというモノよりも持久力を要求される仕事であるという事はこの業界を齧った方なら誰しもが理解している。かつて世間の注目を集めるカリスマ雑誌編集者がいた時代ならともかく、昨今は何となく3K扱いさえされる地味な業種になってしまったかもしれない。

今の時代、本当の競合はコンピュータなのである。スピードと圧倒的な物量的な発想で雑誌を作っていく場合もある。機械的に次々と取材や校正をこなしていると、自分が機械の一部になってしまうような感覚に囚われるらしい。「もうボク限界です」などとこの業界を後にするものもいる。

確かに根本的にこの仕事に合わないという人種もいるにはいる。が、ほとんどの場合、ちょっとした事でモチベーションを回復するのである。それは何か? 潤いではないかと勝手に思っているのである。

ライターが取材をしたとする。その対象にいかに愛情を持って、そして何より興味を持てるか。編集者にしてもそうだ。汲汲としたスケジュールで原稿依頼をしたり、デザイナーに大幅な変更をお願いする事もあるだろう。しかしその日常茶飯事における“突発的な状況”はモノの言い方や、電話のかけ方ひとつで何かが変わるのである。

潤いのある方向と、無味乾燥なすごくプラスティックな方向。そう潤いとは人間性の問題だ。何度も原稿を没にして書き直しをしてもらう場合だって、お願いのやり方ひとつでライターのモチベーションも、また仕上がった原稿の質も違って来るのである。

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その潤いの源泉は行儀なのではないかと思うに至るのである。かつて現役の編集者だった頃、夜中に無理を言って訂正してもらってるデザイン事務所にシュークリームの差し入れをよくしたものだ。煮詰まった夜中のクリエイティブ現場では糖分がけっこう重宝されるのだ。「ごめんね、これ食べてもうちょっとがんばってね」という結果は同じなんだけど、ちょっとシュークリームをお土産に持って行こうという行儀が潤いを与えてくれるんじゃないかと思う。今も差し入れはシュークリームと決めている。

石原卓「東奔西走 関西の編プロ社長奮闘記」バックナンバー

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