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コラム

東奔西走 関西の編プロ社長奮闘記

これからの編集プロダクション

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どうやら最終回の寄稿となりました。何だかネガティブな発言ばっかで業界の方には何となくヒンシュクをかったのではないかと心配しております。そして最終回はこれからボクたち編集を生業とする者たちはどっちへ行くのかってコトを真面目に考えてみたいなと思うのです。

もはや版元(出版社)はこの20年で完全に体質を変えてしまったといえます。それは批判されることではなく、読者という消費者と最前線で接して来たゆえの進化ともとれます。その版元の背後で編集を一所懸命やってきた我々が今や変化を求められています。

純粋な版元のリスクヘッジともいえる丸振りして信頼されるパートナーたる方向性。もうひとつはオリジナリティを持つコンテンツ、あるいは周辺環境を駆使してそれを各版元用にアレンジして商品化できる実行力あるコンテンツホルダー。書いていると簡単ですが、どちらも非常に難しいワケです。

丸振りパートナーの場合、悪くすれば幼稚園の先生、あるいは介護のヘルパーたる忍耐力を持たねばなりません。金無い、人無い、企画無いという三ナイからある程度の売り上げを版元に還元せねばなりません。優秀な編集者だけでは勤まらない重労働です。

そしてコンテンツホルダーもまた難しい。そもそも編集は様々な要素を組み合わせて咀嚼して誌面にまとめるワケでして、いわゆる特化した何かというより、ゼネラリストを求められて来たような時代がありました。ピンポイントなら今やブロガーの方が絶対的にインパクトがあるわけです。そんな中で◯◯に強い!というだけでなく、どこにも無い◯◯を持っているプロダクションになるには、人的にも環境的にも相当な投資が必要になって来るのです。

ロハスが流行し始めた頃、農業とか漁業に精通しようとしたものの、やはりそこにどっぷり浸れずに引き返したコンテンツ制作者は多いと思います。取材という枠を越えて、その産業に入り込まなければやはり見えて来ない事が多いワケで、そこんところは編集者はアタマでは理解していたワケです。

結局、組織力という事に尽きるのかもしれません。個々のコンテンツの担保は小規模のライター集団に任せて、制作進行全体を取り仕切るディレクション力が最も求められていくのではないでしょうか。10年後、編集プロダクションは全く違った分野で仕事をしているのかもしれません。集めて編むという行為がどこでも求められるスキルである以上…。そう信じたいと心から願い、そしてこの連載を粛々と終えたいと思います。

永らくのご愛読ありがとうございました。

※連載「東奔西走 関西の編プロ社長奮闘記」は今回で終了です。ご愛読ありがとうございました。

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