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コラム

東奔西走 関西の編プロ社長奮闘記

本末転倒が命取り!

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情報誌の創刊ラッシュ、史上空前の広告売上げ、最高部数達成……、そんな時期に情報誌編集長をやっていた頃から約20年が過ぎた。その間にこの業界は何に躓いたのだろうと考える事がよくある。

いわゆる「何を取材し、何を伝えるか!」がこの頃のスローガンだったとすれば、失われた20年に「いかに利益を上げるか、いかに効率化するか!」にテーマが大きくふれたように思うのだ。

成果主義だとか効率経営などという言葉が時代を闊歩していた頃、出版業界も同じベクトルの先に夢を見たのである。各社は会社を上場し、資金調達をし易く試みる。そもそも雑誌流通は水モノであって、一般企業のように上場基準を満たす経営は絶望的なのである。

各社は○○ホールディングスだとか、○○ヘッドクォーターなどと、編集や販売部門から切り離した上場のための会社を作った。上場すれば株主至上主義である。雑誌や活字、もしかしたら日本文化を全く理解しない株主の顔色を見て、各社の中枢は事業計画を練り上げた。

そしてもうひとつはコンプライアンスとユーザー至上主義。読者からのメッセージは編集者にとって凶器となり、株主は手っ取り早く、様々な読者の意見から都合の良いデータを抽出して、マーケティング理論で並み居る編集者を駆逐したのである。まさに魔女狩りであったと思う。

結果として、「面白いコト」にはすべて裏付けが必要になったし、不確定な記事やニュアンス先行の企画は悪とされたのである。雑誌として肝である「えげつなさ」とか「マユツバ」とかを資金調達とか経営改革という正義が駆逐してしまったのである。

かつて沖縄にたくさん居たユタといわれる霊媒師たちが、その表舞台から排除されていったような気になるのはボクだけかもしれないけれど。

石原卓「東奔西走 関西の編プロ社長奮闘記」バックナンバー

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