玄侑 宗久(作家、福島県福聚寺住職)/イラスト:田中ひろみ
「玄侑宗久さんに聞く禅についてのQ&A(5)」はこちら
Q19 坐禅や禅は暮らしや仕事のなかでこそ活かされるものだと思いますが、公教育では、坐禅や呼吸法(法)を学ぶこともなければ、「よりよく生きる知恵」として「禅」の中身に触れることもほとんどありません。
反面、宗教という括りになると、反社会的な少数事例と十把一絡げにされることもあります。誰もがもっと気軽に禅に親しむために、玄侑さんが今後やってみたいことがありましたらお聞かせください。
A 地道にあちこちで話し、また今後も書いていくしかないような気がします。たしかに公教育のなかで宗教的なエッセンスだけでも伝えられたら素晴らしいでしょうね。
私自身は学校などでそんな話をすることも受け容れられていますが、それはおそらく「作家」という肩書きもあるからじゃないでしょうか。現在は、神社の神官さんや和尚たちが学校の先生もする、ということが出来にくくなってしまい、勿体ないことだと思います。
少なくとも、脳の二つの使い方として、分析知以外に「瞑想智」があることは、もっともっと多くの人に知ってほしいと思いますね。
Q20 ところで、映画にもなった小説『アブラクサスの祭』の主人公、うつ病のお坊さんのモデルは玄侑さんなのですか。
A いいえ。自分がモデルということは、どの小説でもありませんが、特に『アブラクサスの祭』の場合は、はっきりと別なモデルがいます。誰とは申し上げられませんが…。
玄侑 宗久(作家、福島県福聚寺住職)
1956年福島県三春町生まれ。慶應義塾大学中国文学科を卒業後、さまざまな職業を経験してから京都天龍寺専門道場に入門。三春町福聚寺の副住職をしながら書いた『中陰の花』で第125回芥川賞を受賞。花園大学国際全学科および新潟薬科大学応用生命科学部の客員教授。福島県立医科大学の経営審議委員、東京禅センター理事、東日本大震災復興構想会議委員、原発で被災した子どもたちを支援する「たまきはる福島基金」の理事長でもある。禅についてわかりやすく解説した著書多数。
イラスト:田中ひろみ
丸の内はんにゃ会代表。はんにゃ会へは創立当初から携わり、現在は3代目の代表として活動。仏像巡りから荒行まで精力的に体験している。女流仏像イラストレーター・ライターとしても活躍中。奈良市観光大使。『美しき仏像』(ぶんか社)、『田中ひろみの勝手に仏像ランキング』(メディアイランド)『クイズで入門 日本の仏像』(講談社+α文庫)など、著書多数。
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