これらの数字を見て、「何かおかしいな」と思いませんか?支持率が「1.6%」に過ぎない維新の会が、支持率「25.6%」の自民党とそれほど変わらない数の登録者を獲得していますね。さらに、同じ与党で支持率「4.6%」の公明党が、自民党よりも登録者数が多いという状況です(支持率:時事通信調査)。
この数字は何を表しているのでしょうか。2012年の韓国の経験から考えてみたいと思います。当時セヌリ党の朴槿恵候補者のカカオトークアカウントに登録したのは48万人でした。総有権者が4000万人を超えたので、大まかに計算して有権者数の1.2%に当たります。その多くをシニア層が占めていることから、シニア層を中心とするコミュニケーション戦略を組み立てることができました。カカオトークは、ツイッターやフェイスブックのようなオープンであるSNSと比べると情報拡散効果が高いツールとは言えませんが、仲間内のコミュニケーションツールとして、既に顔見知りの人を繋げていくという効果があります。つまり、これまでオフラインで上手く繋げられなかった人を広報戦略の中に抱え込むことが可能になったのです。
これに対して、自民党のラインアカウントに登録した登録者数は総有権者数の0.087%にとどまっています。今後その数は増えるとは思いますが、韓国と同様に有権者数の1.2%を目指すには、登録者を125万7367人にまで増やさないとなりません。参議院選挙が大統領選挙と違い、有権者の数が多く、世代の層も広いということを考えるとラインの効果を期待するのは厳しい状況です。その上、ラインを使う政党のメッセージの貧弱さが、その効果をさらに低減させているように見受けられます。SNSを使った戦略が吉と出るか――今のところ、その効果はあまり期待できなさそうです。
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