ネットでの情報を投票に活用したのは、たったの「13.4%」
21日に参院選が幕を下ろしました。日本で行われる最初のネット選挙ということで何か変化が起こるのではと期待した有権者も少なくなかったと思いますが、結果は予想通り。「自民党、参議院の過半数確保、ねじれ国会解消」で終わりました。ネット上では世間の目を引くようなインパクトある出来事も、選挙戦を揺るがすような混乱も起こらず、冷静さを維持したまま終了となりました。「ネット選挙」という観点からみると、今回は「有権者の敗北」といえるでしょう。
まずは「23」という数字に注目しましょう。これは19日までインターネットに絡む選挙活動に対して選挙法違反の恐れがあると警視庁が警告した件数です。実際に選挙法違反で摘発された事例は「ゼロ」でした。従来の選挙法なら候補者432人を取り締まれば良かったのですが、ネット解禁によってその対象者は有権者1億478万人まで膨らみます。問題が起こらないはずがないのに「違反者ゼロ」というのは異常な結果です。これは、ネット選挙運動で違反をした人が本当にいなかったことを意味するのでしょうか、それとも違反があったにもかかわらず手が回らず摘発できなかったということでしょうか。矛盾だらけと批判されているネット選挙解禁なのに、問題がありそうだと指摘されたのは「23件」に過ぎないのは、なぜでしょうか。有権者が選挙法の問題点をよく把握し、違法にならないように行動をとったのでしょうか。
次は、「7」です。今回のネット選挙を盛り上げようと手を組んだ大手ネット企業の数です。グリー、ツイッター、ドワンゴ、ヤフー、Ustream、LINE、サイバーエージェント――まさに今の日本のネットビジネスの中核を担っている企業がずらりとそろっています。これらの企業はネット選挙を盛り上げようと相互リンクを積極的に行いましたが、結果を残すことはできませんでした。
それを示す別の数字は、「13.4%」という数字です。投票先を決める時にネットでの情報を参考にした人の割合です(時事通信の出口調査)。日本のインターネット利用者は1億128万8736人、普及率は79.5%に至ります(2012年・Internet World Stats調べ)。その数字からも、ネット選挙運動元年としては、ネットの存在感は薄いと言わざるを得ません。スマートフォンの普及率は37%、4800万人が利用している「ネット先進国」と言われる日本ですので、少しがっかりした人もいるでしょう。
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