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コラム

2013年、ソーシャルウェブの歩き方

オウンドメディアは直営店、プラットホームは街――企業のコントロールが及ばない情報に人は集まる

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オウンドメディアで客観性を保てるか?

ブランド体験を深める場として、また新たなコンタクトポイントとなることを期待し、企業は前述のような「オウンドメディア」を持つわけですが、そのコンセプトづくりやコンテンツの方向性を定める難易度は非常に高いです。


LVMHの「NOWNESS」。

例として挙げた「NOWNESS」はLVMHが運営しているものの、編集権はほぼほぼ独立、ルイ・ヴィトンやクリスチャン・ディオールだけでなく、グループ外のブランドのトピックも扱い、ユーザーに対して公平性を担保しています。リアルの世界のブランドマガジンの場合は、「Monocle」の編集長であるタイラー・ブリュレ氏のチームが編集を担当したり(BEYOND / レクサス)、元「GINZA」編集長の淀川美代子氏を編集長として立て(MAISHA / フランフラン)、コンテンツの客観的独立を保っています。

魅力的なブランドの場合はコンテンツになりやすいのでオウンドメディアの形式も比較的成立しやすい部分もありますが、とはいえ多大なコストもかかる。かつKPIも非常に設定しにくいこともあり、取り組めるブランドには限りがあります。普通に考えて自社でコストを負担しつつ、ましてや競合だったりもする他社のPRをしようとはなかなか思えないですよね。そこに少しでも抵抗がある場合は、この分野に手を出すのをやめておいたほうが得策かもしれません。

ソーシャルに振った場合、さらに難易度があがります。ユーザーは本当に正直で、商品に興味があったり購入したいといった目的があるときには「直営店」を訪れてくれますが、そこをコミュニティとして機能させたり、何かしらのツールとしてサービスを使ってもらうのは決して容易いことではありません。そのためには「店」ではなく「街」を作る必要があるのです。

実例としても無印良品やユニクロなど、ブランド名自体がすでにカテゴリといっても過言ではないほど突出、なおかつ全セグメントに多くのユーザーがいるプレーヤー、すなわちブランド自体がプラットホーム的立ち位置をもっている状況になってはじめて、自社ソーシャルサービスに探り探りで取り組んでいるというのが国内の現状です

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