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コラム

「広告なのにシェアされる」コンテンツ・マーケティング入門

テレビ黎明期の映画会社の失敗に学べ!――適正なウェブコンテンツ制作費の決め方

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例えば映画やテレビなどでは、動画しか使えないため、状況を説明するために、役者が延々と説明するシーンがありますが、ネットだと、そんなものはテキストで表現した方が、ユーザーにとってもムダな時間を浪費しなくて済みますし、制作側もムダな工数とコストを省くことができます。

私はネットのコンテンツ制作の基本は「時間の圧縮」だと思っています。伝えたい内容ごとに、最も短い時間で伝えられる表現手段(テキスト、写真、アニメGIF、イラスト、動画、音楽など)をその都度選び、1つの記事の中で組み合わせて提供することで、多くの情報を、できるだけ短い時間に圧縮するようにしています。

そのため、時間を圧縮できる技術をいつも探しているのですが、最近注目しているのは、平安時代の絵巻で使われている「異時同図法」という、同一画面内に同一人物が複数回登場している技法です。

例えば、『信貴山縁起絵巻』の東大寺大仏殿の場面では、登場人物の尼公が1つの画面に計6回も描かれています。

大仏殿に到着し、礼拝し、夜通し参篭し、明け方出発するという一連の時間的経過を1枚の絵で表現しているのです。

時間を圧縮しているので、描き方によっては、ユーザーは瞬時に物語を把握できます。平安時代なのですが、実にネット的な表現です。実際に最近、スター・ウォーズやインディ・ジョーンズの全ストーリーをまとめた次のイラスト地図も話題になっていました。

また同時に、作り手としても、本来は6枚のイラストが必要な所を、1枚のイラストで済ませることができます。このように「時間の圧縮」という視点は、ユーザーが手軽に読めるようになるメリットだけでなく、制作工数と、コストを抑えるために便利だと思います。

今回、工数とコストを抑える方法を紹介した目的は、ネットのコンテンツは小さい予算で細々と作っていこう、と提唱したかったからではありません。ムダをカットすることで、小さいコンテンツでも広告効果を最大に発揮出来るという実績を積み重ねれば、段々とより大きな予算を獲得できるのではないか、と思います。

またテレビのレギュラー番組のような、小さいコンテンツを連載する、継続的な広告コンテンツを作れないかと、現在いくつかの企業と相談をしています。テレビ番組の多くはレギュラー番組で、特集企画の方が珍しいのに、ネットの広告コンテンツの多くは、特集企画がほとんどで、継続的に、3カ月、半年、1年と続くものはあまり見かけません。

余談ですが、テレビのレギュラー番組で、局の平均視聴率に貢献しやすいのは、ドラマよりもバラエティ番組です。期間が決まっているドラマに比べ、バラエティ番組は、とんねるずの「食わず嫌い王」のように、あるフォーマットが当たれば長く続けやすいからです。そういった意味で、ネットのお笑い系のコンテンツも継続性に注力したいです。

また、広告する商品にもよりますが、一時的に巨大な特集コンテンツを作るよりも、小さくても連載できる広告コンテンツの方が、ソーシャルメディアでシェアされることを目指す場合に有効だと思います。というのは、連載であれば、1つがスベっても、他でカバーしやすいし、シェアしてくれる、番組の固定ファンを作れる可能性もあるからです。

次回の記事では、「ウェブで人を笑わせる方法と、スベる方法」をテーマとして、コンテンツの中身について論じたいと思います。何がウケるか、に正解は無いと思いますが、スベる場合はパターンがあります。最もやりがちでスベりやすいのは「悪ふざけ」です。次回はネットでスベりにくい笑いのパターンを考えます。