筆者の先週のコラムで記載した「食品偽装問題」が、予想通り拡大の様相を呈している。
ホテル・旅館から始まった偽装問題は、百貨店にも広がり、止まる気配がない。百貨店については、髙島屋に続き、大丸松坂屋、三越伊勢丹、そごう・西武、小田急と大手がほとんど名を連ねた。小田急については、グループとして「山のホテル」「箱根ハイランドホテル」「ハイアットリージェンシー東京」の公表が行われた直後で、系列ホテルに続き、百貨店でも偽装が行われていたことになる。
さらに、ホテルオークラやその子会社であるJALホテルズでも虚偽表示の事実を発表し、現在、その対応に追われている。
ホテルショックにおける風評リスクを検証
今回も株式会社VLeの協力を得て、著名ホテルにおける風評リスクの検証を行った。まず、一連のホテル関連の食品偽装問題の発覚から11月11日までの間にどのような風評となっていたかを総量で比較してみた。
Twitterでの推移は図1の通りとなった。
(図1)資料提供:VLe
次にテレビ放映波及状況については図2の通りとなった。
(図2)資料提供:VLe
テレビ露出におけるネガティブ広告価値換算は、各社の対応結果を如実に反映して、大きな差が出ている。
(表1)資料提供:VLe
阪急阪神ホテルズの出崎社長の辞任に追い込まれたグループホテルの偽装問題では、他を圧倒するテレビ露出と炎上が重なった。一連の「ホテルショック」と言われたホテル食品偽装の先駆けとなり、会社や社長のコメントの度重なる修正によって大きな3つの風評の山が形成された。
一つ目は、「偽装ではなく誤表示」という社長の発言で、法律の趣旨を理解しておらず優良誤認に対する消費者への信頼を喪失した結果の風評となった。二つ目は、サービスを神髄とする同グループの「ザ・リッツ・カールトン大阪」の偽装問題。懸念に思ったお客様から偽装を詰め寄られても、事実を隠蔽した「フレッシュジュース」問題などが次々と発覚し、2番目の山を形成した。最後は「偽装と言われても仕方がない」という言葉とともに、出崎社長が辞任した結果に風評が連動した。レシートがなくても返金に応じたり、金額や細かな詳細を含め、事実関係を公表したが、風評の圧力によって公表が後押しされた様相が見受けられ、せっかくの公表も火消しに役立たなかった。
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