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昔ながらの看板フォントをシェア 「のらもじプロジェクト」

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昔ながらの店の看板など、町並みに隠れた文字を「のらもじ」と名づけ、誰でも使えるフォントデータとして配布する「のらもじ発見プロジェクト」がWeb上で話題を呼んでいる。11月29日公開後、12月2日時点でFacebook上で1万件の「いいね!」ボタンが押されている。

また、優れたタイポグラフィを顕彰するTDC賞の2014年度RGB賞を受賞したことが12月4日、発表された。RGB賞はディスプレー、スマートフォン、タブレットPCなどの表示向けに制作した作品を対象とするカテゴリー。

発起人のアートディレクター 下浜りんたろうさん(電通 コミュニケーション・デザイン・センター)は、「のらもじ」の定義について「読み人知らずでも現代まで残る歌があるように、デザイナーが誰かわからなくとも、そのものが魅力的な文字が町中にはあふれています。

Webサイトでは、好きな文で「のらもじ」フォントを試すこともできる。文の長さに応じて、看板が横に伸びていく。

そうした文字を『のらもじ』と名づけました」と話す。「いまプロジェクトで紹介しているような、個性的で味のある文字は、Webで検索しようと思っても、何と検索したらいいのかわかりません。そうした文字を『のらもじ』とネーミングしたことで、ひとつのジャンルに育ち、多くの人が興味を持つようになれば嬉しいですね」。

プロジェクトでは、協力店舗の看板を元に50音のフォントを制作。TwitterやFacebookでシェアするか、100~1000円を寄付すると、フォントデータをダウンロードできる。「のらもじ」フォントで作成したTシャツも販売しており、寄付金やグッズの代金は「のらもじ」の元となった看板の店主に還元されるほか、一部はプロジェクトの活動資金にあてられる。

プロジェクトは、下浜さんのほかにデザインスタジオ「tha」のデザイナー 西村斉輝さん、グラフィックデザイナーの若岡伸也さんを中心に進む。若岡さんは電通関西支社出身で、現在は山梨県で「半農半デザイン」を目指しているという。プロジェクトのきっかけとなったのは、若岡さんが町で見つけた文字を紹介していたブログ。これを見た下浜さんが今年2月、若岡さんに企画を話し、西村さんも加えてスタート。3人それぞれの持ち味を生かし、日常業務のかたわら、アートプロジェクトとして発展させた。

「課題ありきのデザインはもちろん重要なのですが、アイデア先行で後から課題を探すタイプの企画制作が重要になってきていると感じます。その背景として、テクノロジーが身近になってきてることが大きいですよね。今回はアートプロジェクトなので、ビジネスモデルになるわけではありませんが、デザイナーがこういった形でビジネスモデルをつくることは、これからやりやすくなるかもしれません」(下浜さん)。