「ネットは荒れるでしょ?」と言われても、外の声を聞きたかった


【前回のコラム「赤い髪の女子から教わった、「発信しながら次の稼ぎを考えるのが新聞社」」

変わりたいけど方法が分からなかった

メディアラボは、新規事業のアイデアを募集するコンテストを開始した。

朝日新聞メディアラボは、「世界を変えてしまいましょう」というメッセージが書かれたポスターを会社のあちこちにベタベタと貼りました。社員みんなから、新規事業のアイデアを募集したのです。期間は2カ月間。予想の2倍近くの180件のアイデアが舞い込みました。

仕事が終わったあと、β版のサイトを作って新サービスのアイデアを練ったり、ひそかにベンチャー企業と接触したりする社員もいたそうです。1次審査で10件のアイデアを残しました。

2月中に最終選考をして、その後、事業化します。応募したある男性社員は、1次審査で落ちたものの、私にこう伝えてきました。

「新規事業のアイデアが採用されなくても、途中でつぶされず、受け止めてくれる部署があるだけで、今後の仕事のモチベーションが違う」

朝日新聞社には社員が4600人います。新聞の部数が減り、ネットニュースに押され、広告収入が下がっている現状に対して、指をくわえて見ているわけではありません。

難しいんです。私もそうでしたが、記者なら新規ビジネスを考えるより明日の朝刊を埋めるために1行でも多く書かないといけないし、時間を削って取材現場を走り回っています。風呂に入っていて面白いアイデアが浮かんでいても、電話で呼び出されて記者会見に出ている間に、「私の仕事は書くこと」と、心の中でつぶしてしまう。

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竹下隆一郎(朝日新聞メディアラボ)
竹下隆一郎(朝日新聞メディアラボ)

1979年生まれ。幼少期から米国東部コネチカット州やニューメキシコ州に滞在。成蹊高校、慶応義塾大学法学部卒業。2002年朝日新聞社入社。宮崎、北九州、博多などの勤務を経て、経済部記者としてユニクロなど流通企業取材、金融庁などの経済政策取材を担当。同社の「ツイッター記者」として、記事の裏話なども積極的に発信してきた。2012年12月の衆議院選挙では、日本の大手メディアで初めて、ツイッターを使った選挙の世論観測を実施し、ウエブや紙で報じた。2013年9月から朝日新聞の社内ベンチャー部署「メディアラボ」。

ツイッター @ryuichirot
メディアラボ フェイスブック https://www.facebook.com/AsahiMediaLab

竹下隆一郎(朝日新聞メディアラボ)

1979年生まれ。幼少期から米国東部コネチカット州やニューメキシコ州に滞在。成蹊高校、慶応義塾大学法学部卒業。2002年朝日新聞社入社。宮崎、北九州、博多などの勤務を経て、経済部記者としてユニクロなど流通企業取材、金融庁などの経済政策取材を担当。同社の「ツイッター記者」として、記事の裏話なども積極的に発信してきた。2012年12月の衆議院選挙では、日本の大手メディアで初めて、ツイッターを使った選挙の世論観測を実施し、ウエブや紙で報じた。2013年9月から朝日新聞の社内ベンチャー部署「メディアラボ」。

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