細かくチェックされるスポンサー動向
また今回のような複数スポンサーの場合、他社の判断を参考に結論を出すという力も強くはたらくことでしょう。従ってタイミングとしても、他社が結論を出した段階でなるべく迅速に自社も結論を出すという形にもなりやすい。
さらに、テレビ番組をきっかけにしたスポンサー企業の炎上・不買運動の中には、問い合わせをした時に電話対応した社員の言葉遣いなどが問題視されて大きな問題に発展したケースも見られます。
最近は電話のやりとりが、そのまま生でネット中継されていることも珍しくありません。企業としての判断・結論だけでなく、やりとりする個人の対応の仕方も細かく見られているという認識が求められています。
まだあります。番組内でさりげなく登場・プロダクトプレースメントされているスポンサー企業の商品などは、番組内容がネガティブに見られることによって、商品自体の印象もネガティブに受け取られかねません。
今回のドラマであれば、ストーリーの中で母親の想い出のように扱われたシャンプーを見て、スポンサー企業に結び付けて「あざとい」という印象を持った人もいたようです。うまく作り込まれていればいるほど、それが裏目に出るという難しさがあります。
一社で明確に声明を出した例がある
このような状況で「ウチは続ける」というスタンスを取るのはリスクが大きい、と多くの人は考えます。もっと言えば、「続ける」場合はもちろん、何らかの声明を出すこと自体が難しいというのが一般的な認識でしょう。
しかし、実は、こういう場面こそ、それぞれの企業が大事にしているメッセージを広く世の中に伝えるきっかけにもなることを知っておいて損はありません。
番組スポンサーではありませんが、こんな例があります。
現在開催中のソチ五輪においては、開催国のロシアが反同性愛法によってレズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー(LGBT)の人たちへの差別を助長しているとして、人権団体などが強く抗議すると同時に、国際オリンピック委員会の公式スポンサー企業に対して、反同性愛法に対する反対意思の表明と具体的なアクションを強く促しています。
こうした動きの中で、AT&Tはいち早く、一社で、反同性愛法反対の声明を出しました。注目したいのはその中身で、同社が「平等」というものに価値を置いて社内の体制作りや関係団体への協力など、これまでの取り組みを紹介しつつ、だから今こそ声を上げる時だと述べています。
そしてこの声明を称賛する声が世界のあちこちで上がり、広がっているのです。
鶴野充茂(つるの・みつしげ)
ビーンスター代表取締役
国連機関、ソニーなどでPRを経験し独立。公益社団法人 日本パブリックリレーションズ協会理事。中小企業から国会まで幅広くコミュニケーションの仕組み作りに取り組む。著書は最新刊「なぜ経営者は『嘘つき』と言われてしまうのか?PRのプロが教える社長の伝え方・話し方」(日経BP社)ほか、25万部超のベストセラー「頭のいい説明すぐできるコツ」など多数。「広報会議」に「ウェブリスク24時」、日経ビジネスオンラインに「金曜動画ショー」連載中。公式サイトはこちら。
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