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コラム

IMCは3.0へ――日本企業に必要な「REAL MARKETING」

ビックデータで「イノベーション」は起こせるか?

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過去のデータから、新たな需要はつくれない

これまでのアンケートやインタビューといった従来型のマーケティングリサーチだけでは、リサーチャーが意図する範疇を超えた回答を得ることは難しく、購買行動を起こすリアルな消費者心理を分析するデータとして十分とは言えません。そんな中、ビックデータの時代を迎え、MROC(Marketing Research Online Community:マーケティングリサーチを目的としてオンライン上に設けた、ある一定期間集められた人々の集まり(コミュニティ))の様な新しいオンラインリサーチの登場、テキストマイニングの解析手法やアドテクノロジーの進化、ソーシャルメディアの普及などによって、消費者の日常的な行動をデータ化し、ライフログとして観察・傾聴することが可能となったため、テクノロジーによって消費者インサイトを正確に把握することができるようになってきたと言われています。

確かにビックデータの活用によって格段に精度の高い需要予測はできるようになりました。例えば、金曜の夕方とあるエリアにあける飲食店をぐるなび、食べログ等のグルメサイトで検索した人のデータとそのエリアのコンビニエンスストアでの二日酔い予防のドリンクの実購買データとを突き合わせることにより、何からの相関関係を見つけられるようになるかもしれません。それによりコンビニエンスストアでは品切れを起こさない様な最適な仕入れを実現できるようになるでしょう。あるいはウェブ上で検索した人にエリア近くのコンビニエンスストアの地図を表示することにより店舗への誘導を図れる可能性もあります。

また、デジタル解析ツールによるソーシャルリスニングで、自社の製品に対する消費者の認識を知ることもできるようになりました。しかし、それら全ては自分が既にこれまで過去に経験している行動に基づいた“実需・要求”である顕在需要に関するデータです。それらの活用により既に顕在化している需要の予測、刈り取りの精度は上がったとしても、日本において今、本当に必要なのはこれまでにない画期的な製品やサービスの開発による需要創造であり、結果としての成長戦略に繋がる市場創造なのです。

需要を創造するためには、消費者が自分でも明確には意識できていない「何々したい」あるいは「こういうふうになりたい」といった潜在意識として心の深層に存在する“欲求・願望”である消費者インサイトの活用が重要です。しかしライフログデータは過去に実際に起きた事象、既に顕在化している意識、行動に関してのもので、そこからダイレクトに潜在需要という未来を読み取ることはできません。

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