リスティング広告を超える「プリイン広告」施策とは
講演者
- 一木 規正(富士通 ユビキタスサービス事業本部 コンシューマビジネス統括部)
出荷するPCのデスクトップアイコンやブラウザのブックマークに、出稿企業のWebサイトへのショートカットを予めプリインする、富士通の「プリインストール(プリイン)広告」。
PCメーカーならではのこの手法は、同社のWeb業務の中で得られた気づきが、発想のきっかけとなったという。「当社の公式直販サイト『WEB MART』の運営業務において流入経路や検索ワードを調べる中で、リファラがないケースがあることに疑問を持った」と富士通の一木規正氏。
そこから、デスクトップアイコンやブックマークに登録したショートカットを経由してサイトを訪問する人々の存在と、彼らの購買率の高さに気づいた。こうした部分を広告主に開放することが、新しいビジネスになるのでは——そう考え、プリイン広告の取り組みをスタートした。
プリイン広告のメリットについて一木氏は、「ユーザーは利便性の高いサービスや情報を得ることができ、出稿企業はインターネットの上流部分で消費者との接点を持つことができる。また当社は、提供するPCそのものの価値向上を図ることができ、WIN-WIN-WINの関係性を実現している」と話す。
スマートフォン・タブレットなどの新デバイスが台頭する時代にあって、2009年以降のPC年間出荷台数は1400万台と堅調に推移。また「平成24年通信利用動向調査」(総務省)によると、インターネット利用端末として「自宅のPC」を挙げる人は約6割とスマートフォンの約3割をおさえて高い割合を示しているほか、インターネットの利用目的として「商品・サービスの購入・取引」を挙げる人も約6割にのぼる。こうした調査結果を見ても、プリイン広告の効果は十分に期待できると一木氏。
同社調査によると「FMV」のユーザーは、PC1台を家族で共有して使っているケースが多い。年間約90万台を出荷していることから、年間100万人以上へリーチが可能と試算している。
デスクトップアイコンにプリイン広告を設置した場合、年間の想定クリック数は24万クリック。PCの平均使用年数である5年目までの累積クリック数は74万8800に達する。取り組み年数が経過するほどクリック単価は下がり、結果的にリスティング広告に匹敵する費用対効果を実現できると強調する。
「広告によるマネタイズはあくまでもミッションのうちの一つ。多種多様なデバイスやサービスを提供している当社の強みを生かし、広告以外の領域でも、他の企業とのコラボレーションやアライアンスを積極的に進めていきたい」と一木氏は締めくくった。
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