経営陣と現場の距離を縮めたい
そんな中で重要なことは、当社のカルチャーや理念をしっかり発信していくことです。会社説明会や面接などで事業方針や求める人材像を伝えることで、ミスマッチを防ぐよう努めています。社員に対しても同様です。創業者で社長の鉢嶺が直接理念を伝えるようなオフサイトミーティングを頻繁に設けるなど、常にオプトイズムを浸透させるように心掛けています。
分社化を進めるのもその対策の一つ。ヒエラルキーをなくし権限移譲を進め、社員の当事者意識を高めたり、意思決定を早めるのが狙いです。現場社員一人一人の行動が組織の歯車として埋もれるのでなく、会社にどんなインパクトを与えているのかを実感できるようにしたいと考えています。
——オプトではどんな人材が伸びると考えますか。
会社が掲げる理念を体現しているような人材は伸びています。私自身、オプトイズムに共感して入社しましたから。繰り返しますが、自ら決断して行動する「自立人財」であってほしいと思います。
もっとも、マネジメントを目指す人材だけでなく、専門性を持った人材も大切にしています。エンジニアなどの専門人材は今後の成長に不可欠です。ただ、マネージャーも専門人材も、「自立性」が求められることに変わりはありません。
ネット広告の領域はより高度化、専門化が進むでしょう。クライアントも勉強しています。デジタル分野の重要性が高まるにつれ、クライアントの経営層やCMOのような立場の方と会話ができるような知識とコミュニケーション力が求められます。とはいえ、私たちの業務がすぐに変わるわけでもなければ、オプトがコンサルティング会社になるわけでもありません。従来通りの運用をしっかりこなすことが基本です。その上で、少しずつ提案型の営業ができるようにしていきたいと思います。
——プライベートの過ごし方についてもお聞かせください。
いろいろやっていますよ(笑)。那須高原でキャンプ場を運営しているので、仲間を集めて土日に出かけたりします。自然の中でゆっくりするのは良い気分転換になります。
大学と実業団でアメリカンフットボールの選手だったことから、今は協会に所属して審判を務めています。シーズン時は東京ドームにいることもあります。大学アメフト部の後援会長もしております。
それから、息子にテニスを習わせているのですが、昨今の錦織選手の活躍にあるように、いずれは世界一に育てたいと考えています。グローバルに通用するスポーツの中で、日本人が活躍できるものの中から選びました。ぜひ錦織圭を超えたいですね(笑)。
<取材を終えて>
インターネット広告市場と歩調を合わせて急成長してきたオプトにとって、組織の活力をそぐ“大企業病”のリスクとは常に背中合わせにある。そんな中、分社化を含めた組織のフラット化と理念浸透の徹底によって、同社のカルチャーに合った「自立人財」を育てようという方針は明快だ。今後はオプトの理念を体現したマネージャーを数多く育成していけるかがさらなる成長の条件となりそうだ。
石橋宜忠
オプト 取締役COO
デロイト トーマツ コンサルティング、川瀬産業を経て、2008年4月にオプト入社。執行役員CFOを経て、2013年3月から現職。筑波大学第二学群農林学類卒。南カリフォルニア大学でMBA取得。静岡県出身。47歳。
「企業トップが語る“次世代リーダー”の育て方」バックナンバー
- 「自分が感動できるような仕事をすること」——Kaizen Platform, Inc. 須藤CEOに聞く(2015/8/26)
- 「『俯瞰で捉える力』を生かしプロとしての専門性を高めてほしい」——メジャース 山本社長に聞く(2015/7/07)
- 「プロとしての誇りを持ち、もっと自らを肯定して仕事に臨んでほしい」ーベクトル西江社長に聞く(2015/6/10)
- 「新卒研修を半年実施し高い目線で考えることを学ぶ」——ネットプロテクションズ 柴田社長に聞く(2015/5/22)
- 「与えられたポジションに対して力が足りないほど、その差を埋めるスピードはあがる」――エンターモーション 島田社長に聞く(2015/4/30)
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