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コラム

北川一成の「人間力」と「造形力」

プレゼンテーションは「取り返しが付かない一回切りのこと」という覚悟で臨んでいる。

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【前回のコラム】「いかにクライアントが抱える問題の本質を聞き出せるか」はこちら

デザインのプレゼンテーションにおいて、クライアントは提示されたデザインだけを見ているわけではなく、説明する人の姿や話し方なども見ながら、信頼できるデザインかどうかを判断しているはずです。たとえば、人気のある寿司屋というのは、寿司職人が寿司を上手に握れるだけでなく、ネタやシャリの下ごしらえがよく、店の雰囲気もいいものです。さらに、カウンター越しにする会話も楽しく、お客様同士の会話が弾んでいるときには控えめになるなど、間を読む力もある。そういった様々なことを総合的に見て「いい寿司屋だ」と評判になるのだと思います。クライアントとデザイナーの関係においても、同じことが言えると思います。

そもそもクライアントは、デザインに詳しくないため、専門家に仕事を依頼します。プレゼンテーションという場を設けるのも、わかりやすく説明して欲しいと思っているから。そんな大事なコミュニケーションの場面で「緊張してうまく話せない」というのは、クライアントからしてみたら本末転倒な話です。なぜ緊張するかと言えば、自分のことだけを考えているからではないでしょうか。それは、カラオケで「恥ずかしいから歌えない」というのにも似ています。カラオケという場で求められていることは、みんなで楽しく盛り上がるために歌うことです。誰も「歌手のように上手く歌って欲しい」など期待していませんよね。

さらに私は「話す内容」と同じくらい「声色」も大切だと考えています。デザインの説明をするときの「声色」の違いで、思わぬ伝わり方をしてしまう可能性があるからです。どんなに丁寧な言葉を使ったとしても、声色ひとつで相手が受ける印象は変わってしまいます。たとえば、声が小さいだけで相手は「自信がなさそう」とか「頼りなさそう」とか感じたりします。それが、デザインに対する印象にも繋がってしまう場合もあるのです。一見、デザインには関係なさそうですが、話し方や声色も重要なことだと実感しています。

ときどき「北川さんのデザインは、やりたい放題」という声を聞くこともありますが、プレゼンテーションではデザインの意図はもちろん、世間からはどう見えて、どう響くかまで論理的に説明しています。デザインは直感的なものです。だからこそ、ロジカルに言語化して伝える必要があるのだと思っています。

おわり

北川一成デザイン専門クラス体験講座、最後の開催!

2014年12月9日(火) 19:00開催


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北川一成
1965年兵庫県加西市生まれ。 87年筑波大学卒業。89年GRAPH(旧:北川紙器印刷株式会社)入社。
“捨てられない印刷物”を目指す技術の追求と、経営者とデザイナー双方の視点に立った
“経営資源としてのデザインの在り方”の提案により、地域の中小企業から海外の著名高級ブランドまで多くのクライアントから支持を得る。
著作に『変わる価値』(発行:ワークスコーポレーション)がある。

「人間力」と「造形力」を高める、デザインの学校「北川一成デザイン専門クラス」

2014年12月13日(土)開講
講義時間 13:00 – 17:00
定員 50名
講義回数 8日間
開催場所 東京・表参道