2015年は感染症、テロ、自然災害など、外部要因リスクが増大?
2015年は、国際的な社会問題となっているエボラ出血熱やデング熱、さらに人食いバクテリアなどの感染症の多発に対するリスクが増幅される懸念がもたれている。海外からの渡航者を通じて持ち込まれる可能性は完全に払拭できているわけではなく、むしろその危険性を認識した上で、適切な対策を講じておく必要がある。
また、今年は「集団的自衛権」の関連法が国会で審議・具体化され、安全保障の変革とその運用初年度と位置づけられている。昨年以降、海外諸国のメディアからも一部に誤解や間違った見識に基づく記事が掲載されているが、重要な点は、海外諸国で何度となく自爆テロを繰り返してきたテロリスト達が、これまでの認識を変えて日本を攻撃の標的とする可能性が高まったことだ。
FBIテロ対策マニュアルの中には「テロ行為の効果的標的」として、第1ステージに「物流・交通」、第2ステージに「金融・通信ネットワーク」、第3ステージに「ライフライン・原子力等のエネルギー施設」と記載され、うち複数のステージが組み合わされた場合にテロの効果は絶大となり、3つのステージが同時に発生すると「Fire Sale」(コントロール不可能なテロ)の状況となる、と定義されており、社会インフラ(公共性が高く、長期にわたって人々の快適な暮らしを支え、地域の経済活動を活発にする役割を果たしている日本の血脈とも言える産業基盤施設)に対して想定外の急劇なリスクの顕在化が起きても不思議ではない。
さらに、社会インフラ企業に対する標的型メール攻撃等のサイバーテロが倍増しており、マルウイルス感染により重要な機密情報・個人情報の流出やシステムネットワークの機能停止に追い込まれる事態が多発化する可能性も危惧されている。最近では、米国が北朝鮮を名指しで「特定企業に対してサイバー攻撃を行った」として報復措置を決定するなど、世界中でサイバーインテリジェンス対策が進む中、国家間で政治的・外交的な視点で仮想敵国に対する協調や連携が深まることで、日本へのサイバー攻撃標的の増加が想定されている。
一方、地震発生の可能性を含め、自然災害に伴う被害は引き続き発生し、多様化することで準備不足なエリアで想定外の大きな被害が発生する懸念がある。今後も企業は予防対策はもちろん、気象庁の発表する「大雨、暴風、高潮、波浪、大雪、暴風雪」の特別警報や地震、津波、噴火の警報に対する即応態勢を高めて、被害を最小化することに注力することが求められるだろう。
このような背景から、今年は、リスクが想定を超えて増幅されるか、全く新しいリスクが顕在化するなど、発生場所における準備や整備不足が原因となり、被害が拡大する可能性がある。国や企業は周辺環境や外部条件の早い変化に遅れることなく、被害の予防措置や拡大抑止のための整備体制を見直し、万一危機的事態が発生した場合には、適切な対処を講じることができるよう緊急対応態勢の強化を一刻も早く検討することが重要だ。
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