大切なことは引き算と客観視すること
大谷:ぼくの場合は早くコケたいんですよ。たぶん引き算の笑いができないタイプだから、グワーッといってステンとコケたい。「なにそれ?」って言われたいというか。そのために熱くするんだけど、本当に良質なものはじつは引き算がちゃんとできているもの。エアギターだったら弾かないというところに妙技があったし。焦らされて、焦らされてドン!みたいな。
権八:わかるなぁ。
大谷:たまにカラオケボックスとか行って、みんなの盛り上がる曲ばかりみんながドンドン入れているときに、突然知らない曲を歌われるとハッとするときってありませんか?
澤本:ありますね~。
大谷:「何これ、めっちゃいい曲なんだけど」みたいな。じつは、あの感じのほうが主役じゃないですか。あれ、超大事だと思うんですよね。ぼくはDJなんで、どうしてもDJ的な見方をしてしまうんですよ。だから、ずっと面白いのがいいとも思わないし、多少つまらないところがあるから「ここは面白い」とか。
権八:これは勉強になるなぁ。
澤本:ぼくらも広告の世界で「引き算をしろ」って言うんですよ。みんな15秒、30秒に詰め込もうとするから。でも、自分が面白いと思ったことを詰め込めば詰め込むほど、誰もわかってくれない。だから、引いていったほうがいいんだと。「どんどん引き算しろ」と言っていますね。
権八:でも、1つ言えるのは若い人ってなかなかチャンスが巡ってこない。澤本さんみたいに何十本も同時に動かしているとかってないから、ちょっとのチャンスで「うわー、頑張らなきゃ!」って詰め込んじゃうみたいなところもあると思うんですよね。持っているものを全部出さなきゃみたいな。
大谷:そうですよね。だから、最初に“諦めている”ってそういう意味なんですよね。大地は最初から諦めていた。「別にいいや」って。ただの賑やかしだから。一回、ワッてなればいいんだからと。でも、他の子たちは諦めてないからめっちゃ入れちゃうんですよ。
澤本:これも出したい、あれも出したいっていうのはあるんでしょうね。
大谷:お二人は本当に作品を創っているタイプだから、受け手というかちゃんと見ている側の立場にちゃんとなれていると思うんですよ。でも、そこになれるかどうか、というのはとても大事なことのような気がします。
権八:そうですね。客観視するのが一番難しいことですね。
澤本:よくぼくらは「客観、客観」って言いますよ。ぼくたちの作業のなかで、CMをつくるときに一番大事だと思っていることは仮編集です。撮影のときはぼくらが立ち会って、監督が撮ってくれるんですけど、仮編集って監督によってはガーッと入り込みすぎちゃう人もいる。それをぼくらがチェックして、「入り込みすぎているから、こうしたほうがいいんじゃないですか」と、なるべく客観の立場に立って言うようにしているんですよね。ぼくたちにとって一番働きがいがあるところはそこですね。
「澤本・権八のすぐに終わりますから。アドタイ出張所」バックナンバー
- すべての役がターニングポイント(前田弘二・倉悠貴)【後編】(2024/3/14)
- この映画が大変な人の逃げ場になればうれしい(前田弘二・倉悠貴)【前編】(2024/3/12)
- 3期生のおかげで、櫻坂46がパワーアップした(藤吉夏鈴&山﨑天)【後編】(2024/2/22)
- 櫻坂46は格闘技。裏は戦場だけど、ライブが好き(藤吉夏鈴&山﨑天)【前編】(2024/2/21)
- 芸人と広告クリエイター、それぞれのアイデア発想法(ハナコ・秋山寛貴)【後編】(2024/2/08)
- 広告好きな芸人が、広告から学んでいること(ハナコ・秋山寛貴)【前編】(2024/2/06)
- 乃木坂46の公式ライバル「僕が見たかった青空」はどんなグループ?(柳堀花怜・安納蒼衣)(2023/12/14)
- 映画『福田村事件』で感じた集団の恐ろしさ(田中麗奈)【後編】(2023/11/22)
新着CM
-
広告ビジネス・メディア
三井不動産やテレ朝HDが出資 VTuber事業などのBrave group
-
販売促進
「青と黄色のVポイント」がスタート 特定の経済圏を意識せず、CCCMKHD
-
広報
塩分2g以下の「塩対応料理」を数量限定で無償提供、高血圧治療の啓発図る
-
広報
創業273年の熊本の味噌・醤油メーカー、「麹の魅力を発信する施設」をオープン
-
人事・人物
アドビ社長に元マイクロソフトの中井陽子氏が就任
-
AD
マーケティング
Marketing×Technologyの力をすべてのヒトに
-
特集
「宣伝会議賞」特集
-
広告ビジネス・メディア
ドコモIMを完全子会社化 インテージHD、機動性・効率を向上
-
広告ビジネス・メディア
ヤフーへの技術提供を制限 グーグルに行政処分