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コラム

広報会議スピンアウト企画「ウェブメディアの夜会」

新聞記者が、本気でネットニュースの記事を書いてみた (第一夜:朝日新聞社「withnews」奥山晶二郎さん)

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去る3月4日、東京・下北沢の書店B&Bで月刊『広報会議』の連載「砂流恵介のウェブメディアゲリラ訪問」のスピンアウトイベントを開催しました。PRプランナーでありライターとしても活動する砂流さんが、これまで本誌連載で取材したウェブメディアの編集者をお招きし、「ウェブメディア」「ウェブPR」の勘どころ、そして本音を語り尽くします。第一夜のゲストは、朝日新聞社の奥山晶二郎さん。アドタイではイベントの模様をダイジェストでお伝えします。
(聞き手:『広報会議』編集長 森下郁恵)

世の中には「良いリリース」と「悪いリリース」がある

——月刊『広報会議』では2014年の秋から砂流さんと「ウェブメディア編集部訪問」という連載を展開していまして、もう9回ほどになりますね。

砂流:これまでハフィントンポストAolニュースLINE NEWSねとらぼ週アスPLUS@DIME東洋経済オンラインの編集部にうかがいました。その中のひとつが、本日のゲストである朝日新聞の「withnews」です。

——というわけで、この「ウェブメディアの夜会」第一夜のゲストは朝日新聞「withnews」の奥山晶二郎さんです。宜しくお願いします!

砂流 恵介 氏 PRプランナー/ライター

砂流:いまウェブPRの界隈では、本当に「withnews」はアツイんですよ!!

奥山:ありがとうございます(笑)

砂流:誌面に書けなかった裏話の数々もあるので、今日は2時間かけてお話していきたいと思います。

——そもそも、この連載を始めたきっかけとして、「ウェブメディアの編集部と企業の広報サイドには妙な距離感があるのではないか……」という問題意識があったんですよね。

砂流:むしろ「ちょっとウェブメディアって怖いな」と思われているんじゃないかと。そういう仮説のもと、PRとウェブメディアのライター、両方を経験している僕の立場から、僭越ながら読者の皆さんを代表して取材をさせてもらっています。

——私も毎回、取材に同行していて「なるほど~」と目からウロコが落ちるような発見がたくさんあったのですが、砂流さんの視点で、取材を通して見えてきたものってどんなことでしたか?

砂流:僕からはまず、ウェブメディアやPRに欠かせない、プレスリリースについてお話ししたいと思います。プレスリリースを送るということは、企業がメディアへネタの売り込みをするということですよね。

そんな重要な役割を果たすプレスリリースにも、メディアの方からすると「良いリリース」と「悪いリリース」があるようなんです。まず良いリリースの条件ですが、一つが「見出し(タイトル)になるネタがあるか」ということが挙げられます。

——これは「週アスPLUS」の編集部でもおっしゃっていましたよね。

砂流:はい。以前「週アスPLUS」さんを取材した際に伺ったエピソードなんですが、とあるネタの売り込みで、実業家の与沢翼さんをインタビューしないかという話があったそうなんです。でも、ただ単に与沢さんにインタビューしただけでは記事として面白くない。そこで「与沢さんのスマホのホーム画面を見せてください」という切り口で、タイトルを立てて、記事を書いたのだとか。面白いですよね、だって気になるじゃないですか、与沢さんのホーム画面(笑)。プレスリリースにも、こんな風にツッコミどころと言いますか、「あなたの媒体にこんな切り口で記事を載せてもらえませんか?」っていう提案があるといいですよね。

奥山晶二郎 氏 朝日新聞社「withnews」編集部

奥山: 確かに、リリースの中にはタイトルになるようなキャッチーな文言や切り口がなかったり、ただ商品のスペックだとか、イベントの内容が羅列されていて、「結局このリリースを書いた人は何が言いたかったんだろう?」と疑問が残るようなものも少なくありません。切り口がすぐ見つからなかったり、こちらで考えていたりすると、結局、他の案件を優先させてしまうことになってしまいます。

——ほかに「良いリリース」の条件はありますか?

砂流:ビジュアルが良いということ。これもとても大切な条件です。僕はエイサーで広報をやっていたとき、まだ画像の大切さが分かっていなくて、海外のエイサー本部から送られてきたイケてない画像ばかりを媒体の人に送っていました。でも、YouTuberの人がサムネイル画像にこだわるように、ファーストビューにどんな画像を使うかによってクリック率はかなり大きく変わるんです。実際に「withnews」さんではいかがですか?

奥山:まさにその通りですね。僕も昨年7月に「withnews」を始めたころからすると、トップの画像にはかなり気を遣うようになってきました。例えば、スマホの小さい画面で見ても何の画像か認識できるか、といった具合に。

砂流:「悪いリリース」には、画像がそもそもついていなかったり、サイズがものすごく小さかったりというケースもあります。これではメディアの人の目にも留まりにくいですよね。

奥山:朝日新聞にも、毎日かなりの数のリリースが届きます。部署にもよるのですが、特に経済部や文化部がすごい。その中から例えば朝日新聞デジタルのトップページに露出されるかどうかは、まず良い画像がついていて編集部の目に留まるかどうかという第一ステップを突破することが必要でしょうね。

次ページ 「掲載媒体数が多い=PRにおける「成功」、ではない」へ続く