コラム

広報会議スピンアウト企画「ウェブメディアの夜会」

新聞記者が、本気でネットニュースの記事を書いてみた (第一夜:朝日新聞社「withnews」奥山晶二郎さん)

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掲載媒体数が多い=PRにおける「成功」、ではない

砂流:じゃあ「メディアの人が目に留まるようなリリースをひたすら出して何媒体にも掲載されることが、PRにおける『成功』なのか?」と聞かれると、それも一概にそうだとは言えない気もします。

僕は今、元JUDY AND MARYのギタリスト・TAKUYAさんが手がけている「商店街バンド」(音楽とお笑いが融合したユニット)の広報のお手伝いをしているのですが、「withnews」さんに、TAKUYAさんのインタビュー記事を掲載していただいたことがあるんです。

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奥山:結局、あの記事はヤフトピに掲載されて、エンタメカテゴリのトップにもしばらく貼られていましたよね。

砂流:この時、どうしてTAKUYAさんがこのバンドを始めたのか、なぜこのメンバー構成なのかなど、しっかり掘り下げてインタビューをしてもらいました。おまけに、「withnews」は朝日新聞のメディアなので、過去に取材した写真素材のストックを使ってもらえるんですよね。過去の蓄積されたコンテンツ資産を活かすというのは、他のネットニュースにはできないこと。写真の力もあって、とても厚い記事になったのも凄く良かったです。

奥山:withnewsの場合、朝日の写真部で撮影した写真のアーカイブは使い放題なので。意外と、ネット上にある著名人のインタビューって作品のプロモーションを主目的とした、パブリシティの延長のものが多いんですよ。だから実は真に迫った読み応えのある記事が少なくて、その需要の隙間に上手く入りこめたのが、去年、掲載した椎名林檎さんのインタビューでした。シェアは4000以上で、年末の紅白歌合戦など歌番組が続く時期に再度アクセスが跳ね上がりましたね。

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——「withnews」の面白いところは、速報性や瞬発的にバイラルするネタの面白さが勝負とされてきたネットニュースの世界に「鮮度」以外のコンテンツ価値を持ち込んだところですよね。

砂流:僕自身も、この経験があって、僕の中では「どれだけ多くのメディアに載るか」ということも大事ですけれど、「一つのメディアに深く掘り下げてもらう」ということの大切さも身に染みて感じました。掘り下げた強い記事が1本あるだけで、他のメディアがその記事の面白さに呼応してまた取材依頼が来るというループにつながるんですね。大量に、一気に畳み掛ける「ゲリラPR」を信条としてきた僕にとって、新しい打ちの一手があるんだなという発見につながりました。

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