「自分らしく働く」って、どういうこと?(上)

share

自分という会社を経営する

多摩美術大学教授 佐藤 達郎 氏

佐藤:私は学生の頃、働きたくなかったんですよ。ミュージシャンになりたくて、サラリーマンがみんな灰色に見えていましたから(笑)

ただ、文章を書くことは好きだったので、好きなことをやってお金をもらえるならいいかと思って、コピーライターになったんです。でも実際に働いてみると、やりようによっては、社会人は決して灰色ではなく、おもしろいものだと気づきました。

吉田:どんなところにおもしろさを感じたのですか?

佐藤:仕事を通じて「誰かの役に立っている」というところです。それが実感できるようになってから、生き生きと働けるようになりました。やっぱり人の役に立つことは人生の基本であり、喜びなんだなと。感謝されるとうれしいし、リスペクトがもらえると仕事が楽しくなりますし。

吉田:人の役に立つということは、仕事を考える上でとても重要だと思います。自分の中でやりたいことがあっても、それが誰かの役に立たなければお金はもらえませんからね。

大切なのはチャレンジしてみること。やってみないとそれが役に立つのかわからないし、A社では役に立たないことでも、B社では役に立つ場合もあるかもしれません。

津田:ソニーでおもしろいと思ったのが、通称「机の下プロジェクト」と呼んでいて、通常の業務とは別にアンオフィシャルでロボットを作ったり研究したりしている人たちがいるんです。最近は、そういう取り組みを事業としてチャレンジできる制度もあって。やりたいことがあれば会社に縛られる必要は全くないし、やり方や交渉次第では会社のプロジェクトとして実現できる可能性もあるんです。

佐藤:今後、ワークスタイルがどんどん多様化するなかで、複数の働き方を組み合わせる「モジュール型ワーキング」の選択肢もさらに広がるでしょう。私も大学教授の仕事が7割、残りの3割で本を書いたり、コンサルの仕事などをしています。

自分の選択肢を広げるためには、たとえ一つの会社に勤めているとしても、自分という会社を経営していると考えたほうがいいんです。吉田さんもそういうマインドじゃないでしょうか?

吉田:そのとおりですね。ワカモンプロジェクトもそうですけど、電通という環境の中で複数のチャネルを持っているという意識があります。

佐藤:もちろん、どのような働き方にもメリットとデメリットがあります。それはセットで選び取るものだと思うので、自分の中でプライオリティーをはっきりさせておく必要がありますね。

吉田:そうなんです。だからこそ、職種や企業よりもまず、自分自身と向き合う必要があるのです。では具体的にどうするのか。

後編では、実際に「ジブンと社会をつなぐ教室プロジェクト」が大学のワークショップで使った「やりたいシゴト設定シート」を参照しながら、「自分らしく働く」をさらに掘り下げたいと思います。

※後編は4/17(金)に公開予定です。

※本対談記事は「ウェブ電通報」でも掲載。



佐藤 達郎
多摩美術大学教授(広告論・マーケティング論・メディア論)/ 作家 / 研修講師 / クリエイティブ・ディレクター / コミュニケーション・コンサルタント

一橋大学社会学部卒業後、アサツーディ・ケイに入社。コピーライター、クリエイティブ・ディレクターを経て、クリエイティブ計画局長、クリエイティブ戦略 本部長。2009年に博報堂 DYに移籍し、エグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクターを務め、2011年より現職。著書に『社畜もフリーもイヤな僕たちが目指す第三の働き方』(あさ出版)、『リーダーシップのなかった僕がチームで結果を出すためにした44のこと』(実務教育出版)、『自分を広告する技術』(講談社+α新書)、『~本番でアタマが真っ白にならないための~人前であがらない37の話し方』(ダイヤモンド社)がある。


津田 賀央
ソニー株式会社 UX商品戦略 セールス&マーケティング部門 ビジネス戦略部 クラウド企画&運営課

2001年、武蔵工業大学環境情報学部を卒業後、広告代理店の東急エージェンシーに勤務。ウェブ/ソーシャルメディア領域を中心とした広告コミュニケーションのプランニングから、新しいテクノロジーやメディア、サービスの開発を行う。2011年末、ソニー入社。ソニーのクラウドプラットフォーム戦略の中で、各種ハードウエア商品をまたいだクラウドサービスや仕組みを企画・設計。個人のプロジェクトとして、長野県諏訪郡富士見町と共同で、同町の空き家を使ったテレワーク(遠隔で仕事をする)を推進するプロジェクト、「富士見町テレワークタウン計画」を実行中。自身も富士見町へ移住し、東京の仕事をテレワークで行いながら、自然共生型ワークスタイルの実践や、地域のコミュニティーデザインに従事する予定。


吉田 将英
株式会社電通 マーケティングソリューション局

コミュニケーションプランナー。2008年慶應義塾大学卒業後、前職を経て2012年電通入社。
戦略プランナー・営業を経て、現在は若者インサイト研究とそれに基づく顧客体験価値設計を担当。10〜20代の若者を対象にしたプロジェクト「若者研究部(電通ワカモン)」代表を兼務。
2009年JAAA広告論文・新人部門入賞、第4回販促会議賞協賛企業賞、他受賞。PARC CERTIFIED APPRENTICE(認定エスノグラファ)。


「電通」に関連する記事はこちら

「なぜ君たちは就活になるとみんな同じことばかりしゃべりだすのか。」
広告コミュニケーションのノウハウで就職活動生の悩みの解決に取り組む、電通×マスメディアンの共同プロジェクト「ジブンと社会をつなぐ教室」のメソッドを余すことなく書籍化。なぜ君たちは、就活になるとみんな同じようなことばかりしゃべりだすのか。そんな疑問を抱いた6人の広告プランナーが作り上げたメソッドを紹介する就活生必見の書籍。

詳細はこちら

Follow Us