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脳波計測の現場とマーケティング活用に必要な三つの指標

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「注目」「感情関与」「記憶」の3指標を統合

その後、参加者たちはミーティングルームに移動し、辻本氏からニューロマーケティングが注目される背景や、どのようなことが分かるのかといった基礎事項や、それがマーケティングにどのように役立ち、どう活かせばいいのかについて、レクチャーを受けた。

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脳科学者として研究を行っている、ニールセン 辻本氏(京都大学准教授)が、ニューロマーケティングの有効性や「ニールセン ニューロ」の特長についてレクチャーを行った。

レクチャーのポイントは次のようなものだ。

人の意思決定や行動は「無意識」に左右され、本人も気付かずに意思決定や行動している。そのため、人が意思決定や行動をした理由を科学的に解き明かすには、脳活動を調べることが必要。

インタビューなどでは、無意識の情報は得られない。

辻本氏は「脳波の測定自体は難しくないが、どのような情報を脳から取り出せば、マーケティングに活かせるか。それを特定することが重要だ」と話した。

ニールセンでは、脳科学だけでなく経営学やマーケティングの知見もある人たちで専門チームを組織。どのようなことが計測されるとマーケティング上の効果として認められるのかといった指標の設定や計測手法を確立していったのだという。

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効果測定にあたっては「注目」「感情関与」「記憶」の3つの指標を使用している。

「注目」を指標としている理由について辻本氏は「脳は情報の処理容量が限られている。目から入ってくる情報は膨大なので、とてもすべてを処理しきれない。そのため、不要と思われる情報については省略されてしまう。したがって、テレビCMなどのマーケティング施策においては、何らかの方法で消費者を商品などの情報に注目させる必要がある」と話した。

ただ、なんでもいいから注目を集めればよいわけではない。同時に、「感情関与」が重要だという。

例えば、生後30分の赤ちゃんが〇の中に目と口の位置に■(黒い四角)を配置した、顔のようにみえる形をほかのものより凝視することが実験で分かっているように、人は、生物的に無意識に好きな対象と、避けるべき対象とを区別している。

したがってテレビCMの制作においては、仮に注目が高まったとしても、人が無意識に避けたくなるような要素を挿入しないことがポイントになるのだという。辻本氏は「医薬、保険関係だと、課題として避けたいこと(病気やケガなど)が提示されることが多いので、バランスをとるのが難しい」と指摘した。

最後の「記憶」について、人はものごとを「抽象化」して記憶することを説明。また、記憶には「短期記憶」と「長期記憶」があり、マーケティングにおいては長く記憶にとどまる、「長期記憶」に入ることが重要なので、施策が長期記憶に変換されたかどうかを計測していることを説明した。

ニールセン ニューロにおいては、3つの指標に加え、これらを最適に組み合わせた「脳科学的総合効果」指標も開発。すべての指標は、0.1刻みで、 0 ~10の範囲でスコアリングされる。対象別で±0.4以上の差があった場合、有意(確率的に偶然とは考えにくく、意味がある違いであると考えられること)としている。

これにアイトラッキングを組み合わせることで、どの箇所に注目が集まり、反応を引き起こしているのかが分かる。

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こうした脳の働きは、消費行動だけでなく、普段の生活全般にあてはまるため、ニールセン ニューロの計測・分析は、テレビCMのみならず、ブランディング、製品開発、パッケージ、広告、インストア施策の各マーケティング領域において活用されているという。

今回の企画では、参加企業4社の15秒CMをニールセン ニューロで分析した。分析対象となったCMは、コーセーの雪肌精「明るい、すっぴん」篇、ソフトバンクモバイルの「人生という旅」篇、第一三共ヘルスケアの第一三共胃腸薬プラス「スイーツ」篇、本田技研工業のN-ONE「ドアの音」篇だ。各社のCM分析レポートの詳細については、次回紹介していく。


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