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コラム

AdverTimes DAYS 2015

キヤノンマーケティングジャパン × 味の素 × 三井不動産—「広告とPRを融合させ、コミュニケーション効果を高めるには」

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様々なチャネルを通じて生活者に情報が伝わっていく今、広告とPRの融合によってブランディングへの相乗効果を期待することができる。しかし企業の伝えたいことをストレートに表現できる広告と、メディアや口コミなど第三者を通して事実が広がっていく広報では伝わり方が異なる上に組織体制の壁があり、簡単には実現できないのが現状だ。
本講演では、広報とPRの両方のマネジメント経験のある3人が、それぞれの組織体制を踏まえ広告とPRを融合させる考え方や事例、共通ゴールを持つことの重要性、また生活者の中に自社の姿をどう描くかというコミュニケーション活動の工夫について語った。

  • キヤノンマーケティングジャパン 取締役 常務執行役員 コミュニケーション本部 担当役員 総合企画本部 本部長 松阪 喜幸 氏
  • 味の素 理事 広報部長 髙橋 健三郎 氏
  • 三井不動産 広報部長 徳田 誠 氏

限られた予算を有効活用

——まずは組織構成を教えてください。

三井不動産 広報部長 徳田 誠 氏

徳田:三井不動産の広報部は、広報グループ11人と、企業広告やインナーブランディングを担うブランド・マネジメントグループ11人が所属し、施設のオープン時などに広告とPRが連動できるよう図っています。

直近では2014年、日本橋に新たに開業した「COREDO室町2・3」で、パブリシティのタイミングに合わせた広告展開を行いました。

松阪:キヤノンマーケティングジャパンは、国内においてキヤノン製品の販売・サービスを行っています。私の担当するコミュニケーション本部の中には、広報部や宣伝企画部のほか、イベント出展などを行うブランド推進部、ショールームを運営するデジタルハウス推進部があります。ウェブやSNSは同じ本社部門のデジタルマーケティングセンターが運営しており、常に連携しています。

味の素 理事 広報部長 髙橋 健三郎 氏

髙橋:味の素で広告部長を4年間務め、2014年に広報部門に移ったときは、目的が同じだから広告とPRはもっと融合できるはずだと考えていました。言うは易し、行うは難し。広報を知るにつれ、簡単ではないと痛感しています。

最初の課題は、味の素として発信している内容が部門ごとに異なり、生活者に色々な顔が見えていたこと。企業理念をメッセージ化した言葉「Eat Well,Live Well.」を、各部門で連携して伝えていこうと、概念図とともに部内外に伝えるところから始めました。

——広告とPRを融合させる効果を、どのように捉えていますか。

徳田:広告の出稿量が十分にあれば、それだけで話題を起こすことができますが、限られた予算をできるだけ有効活用したいと思っています。「COREDO室町2・3」の例でも、三井不動産が前面に出ていなくても、PRにより「日本橋」の認知が高まったタイミングで施設の広告に接触していただければ、広告効果は倍増します。

まだ3年ほどですが、少しは「これは戦略的にフックをかけられるな」と見通せるようになってきました。

キヤノンマーケティングジャパン 取締役 常務執行役員 コミュニケーション本部 担当役員 総合企画本部 本部長 松阪 喜幸 氏

松阪:相乗効果を生み出す視点は重要ですね。当社の場合、広告とPR、さらにリアルな接触としてイベントやショールームでの体験も含めた統合型コミュニケーションを意識してプランニングしています。

例えば、昨年発売した一眼レフカメラ「EOS 7D Mark Ⅱ」では愛好家を鉄道、野鳥など撮影被写体ごとに7つにジャンル分けし、きめ細かなアプローチを展開しました。

製品発表会では演出として各ジャンルの写真家に登場してもらい、製品カタログや広告も7種類つくりました。鉄道や野鳥のイベントなど愛好家の集まるイベントにも出展し、カメラに触れてもらうことで、ブログやSNSでの拡散を狙いました。

趣味の世界では口コミが有効です。結果、新製品はファンの間で話題になり、従来モデルの3倍の予約を獲得することができました。

——広告から広報へ移られた髙橋さんは、双方の融合をどう考えますか。

髙橋:広報部長になって8カ月で気付いたのは、統合といっても広告とPRで単に同じメッセージを発信するだけではダメだ、ということです。違いを理解しなければ、永遠に融合しない。

広告は枠を購入し、メッセージを直接発信できるので、シャープでエモーショナルな伝達ができます。一方、PRはメディアや第三者の評判を介するBtoBtoCの流れなので客観的なファクトが伝わりますが、それだけで最終ゴールである「生活者の“Like”の獲得」は難しい。

右脳的な広告、左脳的なPRの特性を踏まえて融合させることができたとき、初めて好きになってもらえると考えています。

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