体験デザインブランディング—コトの時代の、モノの価値の作り方(前編)

「アドタイ」で連載していた、アーキセプトシティの室井淳司氏の「経営の隣にあるデザイン」に、大幅に書下ろしを加え、6月1日より書籍「体験デザインブランディング-コトの時代の、モノの価値の作り方」として刊行になります。連載は2013年から2014年にかけて、掲載されましたが、その当時に比べ、さらにマーケティングにおける「エクスペリエンス(体験)」への注目度は高まっています。なぜ、いま「体験デザイン」が重視されるのか。室井淳司氏が解説していきます。

第1回:マーケターは「体験」の価値をどうとらえている?——キリン「一番搾り」のブランドマネージャーに聞く(前編)

今年も渋谷に「一番搾りガーデン」がオープンしました。2012年の「一番搾りフローズンガーデン」から続くこの企画は、キリンビールのフラッグシップブランドである「一番搾り」を体験できるショップとして多くのお客さまに楽しんでいただいてきました。

この「一番搾りガーデン」がどのようにできあがっていったのかを、僕の単著「体験デザインブランディング〜コトの時代の、モノの価値の作り方」でも、1章を使って紹介させていただいていますが、今回のコラムでは、そのプロセスをクリエイティブディレクターの視点ではなく、企業のブランドマネージャーがどのように取り組んだのかという視点で書いていきたいと思います。

企画にご協力いただいたのは、2010年9月から2014年12月まで「一番搾り」のブランドマネージャーを務め、僕が尊敬するクライアントでもあるキリンビールの門田邦彦さんです。

写真左から、アーキセプトシティ 室井淳司氏、キリンビール 商品開発グループリーダー 門田邦彦氏。

タッチポイントを重層的に

室井:

そもそも、なぜ「一番搾り」でこの様な体験施策に取り組もうと考えたのですか?

キリンビール 商品開発グループリーダー 門田邦彦氏

門田:

「一番搾り」は1990年に発売されましたが、以後“嬉しいビール”として、お客さまにビールを飲む歓びや楽しさを提案し続けてきたブランドです。テレビCMで食とビールを連動させた提案を始めたのも「一番搾り」が最初でしたし、ぽりぽり一番(一番搾りの麦を使ったスナック)といった素材を食べて楽しむ体験や、ビールが2時間ぬるくならない魔法のジョッキでバーベキューをしながら冷たいビールを飲む楽しさの提案。カラフルで楽しいビアカクテルの提案等、ビールの味を美味しくすることはもちろん、飲み方や楽しみ方を提案してきました。

続きを読むには無料会員登録が必要です。

残り 2469 / 3137 文字

KAIGI IDにログインすると、すべての記事が無料で読み放題となります。

登録に必要な情報は簡単な5項目のみとなります

「AdverTimes. (アドタイ)」の記事はすべて無料です

会員登録により、興味に合った記事や情報をお届けします

この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

この記事を読んだ方におススメの記事

    タイアップ