最終日—フィルム/フィルムクラフト/ブランデッドコンテンツ&エンターテインメント/チタニウム&インテグレーテッド部門、と、初のカンヌで感じたこと。【編集部カンヌ通信】

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緊張、安堵、喜び、悔しさ…様々な感情の渦巻く熱量の高い場所、カンヌから最終日のレポートです。

カンヌのフィナーレを飾る贈賞式、今年は小さな異変がありました。例年チタニウム部門が「ベストオブベスト」として最後に発表されるのですが、今年はフィルム部門が最後だったのです。なぜでしょう? フィルム部門の結果から見ていきましょう。

今年から、フィルム部門には「ノンテレビ」カテゴリー、つまりオンライン動画枠ができました。グランプリは、テレビとノンテレビからそれぞれ1点ずつ選出されます。

テレビのグランプリはブラジルのライカの「100」。ライカカメラ100年の軌跡を、2分間の美しい映像にまとめた作品です。この映像の中には35枚の名写真が再現されています。見ていくうちに、記憶にあるシーンがいくつも見つかるはずです。「硫黄島の星条旗」(ジョー・ローゼンタール)、「勝利のキス」(アルフレッド・アイゼンスタット)、「崩れ落ちる兵士」(ロバート・キャパ)など。

写真好きにはたまらない映像。ライカは100年前、カメラを小型化し、スタジオから外に持ち出せるようにした企業です。この映像からは、写真文化を担ってきた企業としての誇りとゆるぎない自信が感じられます。審査員長のトー・ミレーン(グレイ)は、「完璧だ。ビジュアルストーリーテリングが大変ユニークで、何度見ても新たな発見がある。時代によらない普遍性を備えている」と絶賛していました。

広告会社はF/nazca Saatchi & Saatchi。ブラジルの広告会社がカンヌでグランプリを受賞するのは初めてという意味でも、記念碑的な作品です。

続けて、フィルム部門ノンテレビのブランプリは、保険会社ガイコのYouTubeプレロール用の動画広告「Unskippable」。

おわかりでしょうか? 「あなたはもうこのCMはスキップできません。だってこのCM、もう終わっちゃったんだから」。ここまで5秒。ぴたりと動かない役者たち。そのまま見続けていると、あ、犬が…。ここから贈賞式会場は大笑い。
5秒経たないとスキップできないプレロール広告の仕組みを逆手に取ったアイデアです。日本でも、YouTube広告枠を面白く使うアイデアとして「見るだけゲーム」がありましたが、ガイコのやり口は鮮やかですね!
「人が見たくないと思うタイミングで何かを見せるというのが、広告の仕事だ。その究極の状況で、型破りな方法でそれを打ち破った。『見て』ではなく『見なくていいよ』と呼びかけるのは新しい視点で、チャレンジングだ」とトー。

気持ちよく笑ったところで、ゴールド作品を何点か紹介しましょう。

こういうCMがカンヌで見たかった!と思った方、多かったんじゃないでしょうか。ゴルフのローリー・マキロイ選手が幼少期からタイガー・ウッズに影響を受け続け、同じ舞台で戦う夢を叶えるまでを描いたCM。制作は、Wieden + Kennedy Portland。

他国のインサイトやセンスに触れるのもカンヌの面白さだったりしますが、日本人審査員の長谷部守彦さん(博報堂)の解説によれば、「このCMは、アフリカにいる若い黒人たちのエッセンスをつかんでおり、ブラックは俺たちの魂の真ん中にあるものなんだ、というイメージを作り出すことに成功している。ビジュアルとエンターテインメントと、実は計算されたコピーの連発。そういう意味でマスターピース」ということでした。カッコいい表現の後ろに、きちんと人を動かす計算が働いている。これぞCM、ですね。制作はAMV BBDO London / BBDO SOUTH AFRICA Johannesburg。

続けて、フィルムクラフト部門に行きましょう。

グランプリは、英国の人々から高い人気を誇る、老舗百貨店ジョン・ルイスのクリスマスCM。2014年は、少年とその親友のペンギン「モンティ」の暖かな心の交流を描きます。わずか2週間で約1600万回再生を突破したと言いますが…その秘密は、見ればわかります。もう、何回でも見ましょう。だって、何回でも観たくなるんですから。

続けて、ブランデッドコンテンツ&エンターテインメント部門。何とグランプリはなし。うーん…ちょっと肩すかしな感じは否めません。

1点ゴールドから紹介しましょう。他の部門でも多数獲りましたが、「The Gun Shop」(Grey NewYork)。

NYの街中にオープンしたガンショップ。やってきたお客が置いてある銃について尋ねると、店員が答えます。「それは、5歳の子どもが家で9カ月の弟を撃った銃だよ」「これは、罪のない20人の生徒の命を奪ったライフルだよ」。客の顔がこわばります。ガンショップは、銃が意図せぬ悲劇を引き起こすことを伝えるために作られたフェイク・ショップだったのです。銃暴力に反対する団体がクライアントです。

さて、ここで以上の3部門からの日本の受賞作の紹介です。
日本、獲りました!NTTドコモ「3秒クッキング(爆速エビフライ、爆速餃子)」がブランデッドコンテント&エンターテインメントとフィルムクラフト両部門で計3つのゴールド!さらにフィルムでシルバー!
サントリー「忍者女子高生」がブランデッドコンテント&エンターテインメントでシルバー!
「3秒クッキング」で受賞した東急エージェンシー川地晢史さんとAOI Pro. 加藤久哉さんの喜びの声はこちらのインタビューでご覧ください。
審査会でも「I love Shrimp!!」と大人気だったそうですよ。

cannes_report


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