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コラム

全広連金沢大会特集 五感でつかむ金沢の文化

クリエイティブで地域活性――福光屋 福光松太郎・代表取締役社長(金沢広告協会理事長)

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変化し続けてこそ「伝統」は受け継がれる

福光松太郎・福光屋社長(金沢広告協会理事長)

福光松太郎・福光屋社長(金沢広告協会理事長)

金沢は外国の方々に日本文化を紹介するうえで最適な場所です。古くは加賀藩の領主前田家が地域産業として工芸を興し、文化による地域経営を行ってきました。金沢文化の特徴は、前田家が洗練させた武家文化が一般に広く浸透している点です。

そのため、街並みから土産物のパッケージデザインに至るまで、金沢の人々はデザインに関して非常に厳しい目を持っており、贅沢品でも日用品でも、「金沢らしさ」を大切にします。

金沢らしさとは、加賀藩の伝統的な美意識と、時代に合う斬新さを併せ持つことを指します。変えないことが「伝統」なのだと思われている方がいますが、それは違います。時代に合わせて変化し続けるからこそ、伝統は現代まで受け継がれているのです。

こうしたデザインの目利きがたくさんいる金沢に、東京のクリエイターを呼び込みたいと働きかけています。インターネットさえあれば仕事はどこでもできますから。

すでに、数人の著名なクリエイターが金沢にも事務所を出されました。なかには家族で移って来る方も出てきています。

地域性とクリエイティブは密接に関連しています。どこで活動していても、クリエイターの作品にはその人の出身地の文化が感じられます。

特に、地元から外に出た経験がある人は、地元を客観的に見ることができているような気がします。もちろん、金沢でずっと活動してきた優れたクリエイターも多くいますが、客観的な視点も持ちながら金沢の良さを表現するという側面に限って言えば、もうひとつ育っていないように感じます。

クリエイターは大いに交流すべきです。金沢に戻ってきたクリエイター、他地域の出身のクリエイター、そして地元のクリエイターが金沢で交流することによって、広く認められる「金沢らしさ」が生まれるはずです。

金沢がクリエイティブな場所として認められるようになり、東京の企業から名指しで仕事を依頼されるようになれば、金沢の街は今よりもっと面白くなるでしょう。(談)