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コラム

PRの現実と理想の狭間でー業界歴23年、PRパーソンの試行錯誤ー

ツッコミどころの設定と情報の置き方でコンテンツを自走させる!

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みなさん、こんにちは。暑い日が続いていますが、ヘトヘトになっていませんか?僕の頭の中は、現在構想中のコンテンツがどうすればメディアの皆さんや顧客の皆さんに受け入れられ、シェアをしてもらえるようになるのかを考えて、HOTな状態が続いています。ダブルの暑さで溶けないように、頑張ります!

前回、森永乳業「カフェマリアージュ」のサンプリングイベントが、パブリック・リレーションズ発想のコンテンツづくりで、さらに注目されるイベントになったことを紹介しました。

商品USPである「とろける」体験をしてもらうために、ターゲットである20代~30代女性の「消費者インサイト」を踏まえたうえで、「メディアインサイト」と「ソーシャルインサイト」を読み解き、クリエイティブエージェンシーのライトパブリシティさんと共同で、「壁ドン専用人形のトロケッタ・マリアージュ」と「壁ドンカフェ」というブランデッドコンテンツをつくりました。マスメディアにも取り上げられ、ソーシャルメディアでの口コミとあわせて大きな反響を呼び、商品やブランドに落とし込むことができました。

こうした話を聞くと、ペイドメディア以外を使った施策では、実際に想定したような成果を得られるとは限らない。天に運を任せるしかないようなものじゃないの?と考える読者の方もいらっしゃるかもしれません。

確かに情報が拡散するかどうかは、やってみるまでわかりません。しかし、過去のケースから情報波及の流れを分析し、また話題にしたくなる情報は何か、「メディアインサイト」「ソーシャルインサイト」を掘り下げて考えることで、その精度を高めることは可能です。

今回は、実際にパブリック・リレーションズ視点で生み出したブランデッドコンテンツを自走させるために、現在のメディア特性を踏まえたうえでの、コンテンツに盛り込んだ仕掛けと、情報設計のポイントを見ていきたいと思います。

マスメディアはトレンドと意外性、ソーシャルメディアはツッコミどころ

この「壁ドンカフェ」は、オープン3日前の10日8日のWEBニュースで、最初、火が着きました。

東京都・原宿に「壁ドンカフェ」が登場 -男性も体験できる!(マイナビニュース)

ツイッターをはじめとしたソーシャルメディアでは、「あの『壁ドン』が体験できる?」「『壁ドンカフェ』って、どんなカフェ?」などの素朴なつぶやきと、“男性も体験できる”というワードに話題が集中しました。

また、壁ドンをしてくれるのが、カフェの店員あたりだと思っていたところ、壁ドン専門の“人形”だということで、「なんで人形なの?」「え!人間じゃなくて、人形!?」といったツッコミで盛り上がり、約1日で3000を超えるつぶやきが確認されました。

「壁ドンカフェ」「壁ドン人形トロケッタ・マリアージュ」は、コンテンツをメディア上で自走させるために、マスメディアとソーシャルメディアの傾向を踏まえて、いくつかのつっこみどころを設定していました。

その1つめが、壁ドンをしてくれるのが「人形」だったことです。これは、正直、ツッコミどころを作ろう!と、始めから意識して設定したわけではなく、女性のインサイト調査をしていた時に女性の好みがあまりに様々であったため、いっそのこと人形にしたほうが、どの女性にも受け入れられ写真撮影もしやすく、良いいのではないかと考えた結果でした。

もちろん、人間だと思っていたら、人形だったという意外性もウケるはずだとは考えていましたが、想像以上の反響を呼ぶことになったのでした。

もちろんPR活動はオープン前からしていたので、10月11日(土)のオープン日にはすでにテレビや新聞、WEBニュースなどの取材予定が入っていましたが、このソーシャルメディアでのつぶやきの急上昇により、さらなる取材が舞い込んできました。

情報番組のインターネットで話題になっている急上昇ワードを紹介するコーナーで、オープン日に取材をしていただいた内容が紹介されたのです。注目ワードとしての「壁ドン」だけでなく、壁ドンが実際に体験できる「壁ドンカフェ」、そして「壁ドン専用人形トロケッタ・マリアージュ」のプロフィールとサンプリングイベントの模様、そして、人形に壁ドンをされた女性のリアルな反応が全国に放送されたのでした。

実は、「壁ドン人形のトロケッタ・マリアージュ」君には、出生地から職業、年齢、性格、好きな言葉など、とても細かいプロフィール設定がありました。これが2つめのつっこみどころです。

この設定は、キャラクターのリアリティと話題性の幅を広げるため、かなり詳細にこだわって決めていきました。彼の身長である180センチという数字も、日本人の女性の平均身長158センチの人が壁ドンされた時に、一番キュンとする、ベストなポジションになる背丈というファクトに基づいて設計されていたのです。

次ページ 「ソーシャルでの話題が、マスメディアを動かす」へ続く