情報の「置き方」の工夫で、コンテンツが自走した
ここまで情報が自走していった「壁ドンカフェ」と「壁ドン人形」。この自走の裏には、もう一つ忘れてはならない情報の「置き方」で意識したポイントがありました。
ここまでご紹介したようにリアルイベントを軸としながら、一方でWeb上のオウンドメディアである「ブランドサイト」に、人形のプロフィールや、「壁ドンカフェで、壁ドンを体験している体験映像」、そして「壁ドン人形の制作風景」など、様々な周辺コンテンツを最初の段階から置いておいたのです。
「壁ドンカフェ」や「壁ドン人形」に興味を持ったソーシャルメディアの利用者たちが「これ面白い」とリアリティを持って伝えられるような素材を複数置いておくことで、彼らはブランドサイトからそれらの情報を取得し、拡散コンテンツとして、利用していました。
情報を面白がって広めてくれる人たちが、どんな素材を必要としているのか。それを計算してコンテンツを用意したことが、この自走に一役かったのだと思うのです。
お客様とブランドをつなげるストーリーとコンテンツをつくる際、そのブランデッドコンテンツやコンテンツの置き場がメディアインサイトやソーシャルインサイトをしっかりと捉えていると、自然と自走率は高くなるのだと改めて感じることができました。
この事例では、マスメディア露出やソーシャルメディアでのブランデッドコンテンツとしての自走力としては、最大効果が図れたと思います。
しかし一方で、実際の売り場などで「壁ドン人形」をキャラクターやアイコンとして利用したり、「壁ドン人形」自体にブランドの色を混ぜ込むなど、コンテンツとブランドの距離をもっと近くすることができれば、販売により貢献できたのではないかとも思います。
パブリックで人々が面白がるコンテンツに、どうブランドをリンクさせていくのか。その最適な塩梅は、これからさらに追求していかなくてはならない課題の一つですね。
それでは、ごきげんよう、さようなら。
「PRの現実と理想の狭間でー業界歴23年、PRパーソンの試行錯誤ー」バックナンバー
- 悩み続けて20年、PRパーソンの僕が考える、パブリック・リレーションズ発想をマーケティングに活かす道(2015/8/17)
- 大切なのは購買喚起にまでつながるシナリオ設計—「壁ドンカフェ」に見る、自走コンテンツ(2015/7/23)
- 話題だけでなく、存在意義をつくる!―消費者を巻き込むPR視点のブランデッドコンテンツとは?(2015/7/08)
- “広告スルー”の消費者を動かすブランデッドコンテンツとは(2015/7/01)
- パブリック・リレーションズ発想の時代が到来した!――狭くて、間違ったPRはもったいない!?(2015/6/24)
- 「PRの現実と理想の狭間で〜業界歴23年、PRパーソンの試行錯誤〜」インテグレート赤坂さんのコラムがスタート(2015/6/22)
新着CM
-
AD
宣伝会議
【広報部対象】旭化成のグローバル社内イベント成功事例を紹介
-
販売促進
ファンタジー好きに訴求するグミ カンロ、空想の果実をイメージした新商品
-
販売促進
横須賀市、メタバースで観光誘致 AIアバターの実証も開始
-
AD
広告ビジネス・メディア
jekiが手がける電車内テレビ局「TRAIN TV」 その狙いと展望とは?
-
コラム
サムライマックのCMに「ありがとう」と言いたい(遠山大輔)【前編】
-
クリエイティブ (コラム)
アイデアが苦し紛れにくっつく瞬間がある――「KINCHO」ラジオCM制作の裏側
-
販売促進
ベビー用品の速達デリバリー 日本トイザらス、30分以内におむつやミルクを配達
-
販売促進
「認知獲得」「販促」の両方使えるリテールメディア特性がメーカーの混乱を招く
-
AD
特集
広報業務が変わる!PRのデジタルトランスフォーメーション