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コラム

PRの現実と理想の狭間でー業界歴23年、PRパーソンの試行錯誤ー

大切なのは購買喚起にまでつながるシナリオ設計—「壁ドンカフェ」に見る、自走コンテンツ

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みなさん、こんにちは。
連載がはじまって以来、クライアントさんや仕事のパートナーさんから、「読んでますよ~!」とお声がけいただく機会が増えたのですが…。「すいません。恐縮です」とついつい照れ隠しで言ってしまうPRパーソンの赤坂です(本当はとてもうれしいです!)。

前回、ブランデッドコンテンツがマーケティング活動の中で本当に機能するためには、ブランドと社会との関わり、結びつきを想起させ、世の中ゴト化させる「パブリック文脈」とそのブランドの特性やベネフィットを伝え、自分ゴト化させる「ブランド文脈」を合わせ持つハイブリット型のコンテンツにしていく必要性があるということを書きました。その制作のプロセスとは、ブランド側が持っているビジョンや消費者に対して提供したい価値や想いと、世の中や社会にとっての「存在意義」を掛け合わせてストーリーを設計し、それをさらにクリエイティブによって消費者にとって「面白い」「興味をもつ」「参加したくなる」など心が動くコンテンツに組み上げていくというものです。

今回は、実際にパブリック・リレーションズ視点で生み出したブランデッドコンテンツの具体的な事例から、ポイントを紐解いてみたいと思います。

女性の“とろける”状況の考察からコアアイデアのリサーチを開始

当社では2014年10月に、クリエイティブエージェンシーのライトパブリシティさんと一緒に、コーヒーとの相性を追求した森永乳業「カフェマリアージュ」の発売記念サンプリングイベントのお手伝いをしました。森永乳業では、毎年新商品の発売に合わせて、サンプリングイベントなどを展開してきましたが、今年は単なるサンプリングイベントではなく、商品ブランドに落ちる仕掛けで話題づくりができないかという相談をいただきました。

この商品は、コンビニエンスストアのカウンターコーヒーが普及し、同時にスイーツを購入する消費者が増えていることに着目し、コーヒーと合う味と食感を追求して開発されました。女性をターゲットにし、舌も心もとろける体験をしてもらいたいということで、「とろけるキャラメル&チョコプリン」「とろけるモンブラン&アーモンドプリン」の2種類の味を用意。コーヒーとの相性、まさにマリアージュを楽しんでいただく、「とろけるような口どけを体験できるスイーツ」、これがこの商品の特長です。この商品コンセプトををベースに自分ゴト化のためのコンテンツを設計しました。

最初に、「消費者インサイト」を検討しました。
まず、ターゲットである20代~30代の女性にグループインタビューを何度か行いました。注目したのは、「舌も心もとろける体験を」という点。女性にとって、「とろける体験」というのはどんな状態なのかを探っていきました。夢心地の状態、キュンとする瞬間、心がキラキラしている状態などが浮かび上がってきました。また、「日常生活では接することのないようなイケメンに優しくされたりすると、とろけてしまうかも」などの発言も見受けられました。イマドキの女性にとって「とろける体験」とは、異性との出会いと切っても切れないもののようでした。

次ページ 「メディアインサイト、ソーシャルインサイトを深掘りする」へ続く