コラム

澤本・権八のすぐに終わりますから。アドタイ出張所

映画も音楽もCMも、現場が生き生きしていないとダメ!(ゲスト:浅野忠信さん)

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CMも映画も、現場が生き生きしていないとダメ!

権八:映画とCMってスタッフがクロスオーバーしているところがあります。澤本さんも浅野さんの話を聞いて脚本書いちゃおうとか、映画『ジャッジ!』をつくられていたり。先ほどの鮫肌もそうだし、『PARTY7』もCMディレクターの石井さんが撮っていたりとか。

浅野:『SURVIVE STYLE5+』とか。

権八:前々回に出ていただいた多田琢さんがつくった2004年の映画ですね。これもCMのスタッフが結集してつくった映画でしたけど、浅野さんの中で映画とCMは、仕事されるときにどういう風に違いを考えていますか?

浅野:CMはこういったら失礼ですけど、4コマ漫画的な強烈な何かじゃないですか。すごく勉強になるなと思います。物語性のあるものもあるけど、やっぱり商品をトコトンまで見せるというか。商品を見せるという行為としてのCMというのが意外と好きで。あの強烈な、なんだかわからない力というか。CMによっては何の宣伝だったかわからないのもあるわけですよね。あれ、何だったんだろうみたいな。でも、あの瞬間って映画ではなかなかつくれないですもんね。

権八:この番組でもしばしば話題になることで、映画ではあまりないけどCMではよくあることの1つとして、セリフの代案を現場で、こういうパターンも読んでもらえますかみたいなことを突然言われるじゃないですか。あれはどう思います?

浅野:僕は気にしてないですね。映画ではないので、商品が大前提じゃないですか。気持ちをつくったうえで「そのセリフは出てこない」と言っても、「君の気持ちは関係ないでしょ」という話になっちゃう。

権八:こちらの気持ちを代弁してくださってうれしいですね(笑)。

浅野:映画もCMも通じるのは、見たときに面白いか、面白くないかというのがとても重要な気がします。面白いCMの、あのCMのやつ買っちゃおうみたいな。面白くしようとするチャレンジであれば、やってみましょうとなると思います。

権八:15秒のCMだと、どうしても素材が限られてきてしまう。僕らもなるべく編集でいかようにもできるようにしたくなっちゃうという悲しい性もありますよね。

浅野:僕はクライアントさんをうまくこっちに引きずり込みたいんですよね。待っている気がするんです。クライアントさんたちって、現場ではだいたい席を用意されていて、ビデオ(モニター)を見てるじゃないですか。つまらなそうですよね?

一同:爆笑

浅野:あれが僕らの間違いだと思うんです。クライアントさんを喜ばせないといけないわけです。「クライアントさん、そんなとこ座ってないでどうですか」「見てください」と。それぐらい巻き込んでいかないといけないし、クライアントさんたちを笑わせていかないと。

権八:一緒につくろうよと。

浅野:映画もそうですけど、僕が偉い人だったら、現場にいてつまらなかったら「何やってんだ、アレ!」ってなると思うんですよ。映画のモニターを見ていて誰も笑ってなかったり、現場で寝てたり、携帯をいじっているやつがいたら、それはイコール映画館も同じことになると思っている。

澤本:なるほど。

浅野:映画がつまらないからモニターの前でも誰も見てないし、笑ってない。やっぱり良い現場はスタッフが食いついていますよね。要するに俳優から溢れるエネルギーがそうさせているんだと思うんですけど。みんなが食いついて、気づいたら徹夜というんだったらいいんですけど、誰かに付き合わされて徹夜ってなると疲れちゃうみたいな。

一同:

浅野:もう帰りたいなってなるんですよね。そこがCMだけでなく、音楽づくりの現場もそうだと思いますし、みんなが生き生き食いついてないときはちょっと危険シグナルかなという風に思っていますね。

澤本:なかなか言いづらいことを全部言ってくれて(笑)。

中村:そんな浅野さんの今後の活動は?

浅野:次の山田(洋次)監督の作品(12月公開『母と暮せば』)に出させていただくのと、今後も映画や音楽をガシガシ、気持ちは楽しく続けていきたいですね。先日は黒沢清監督の『岸辺の旅』という映画でカンヌ国際映画祭に行かせていただいて、ありがたいことにある視点部門で監督賞をいただきました。

一同:おめでとうございます。

浅野:同世代の深津絵里さんと夫婦役をやらせていただて。何しろ僕は自分の世代が主人公でありたいと思っているので、この2人の映画で監督賞をいただいて盛り上がりました。やっぱり我々を主役にどんどん映画を作っていただきたいなと。

澤本:すごい。そう言うのがいいよね。

浅野:若い子向けの映画だけじゃ解消できないものがあるじゃないですか。でも、ちゃんと僕らの世代やそれより上の人たちが主人公の映画を真剣につくれば、重みが増すと思う。僕もこんな瞬間を乗り越えたいと思っている、というものが描かれていれば、それは映画の持つ力かなと思うんですよね。

澤本:本当にそうだと思います。

中村:残念ながら、お時間が来てしまいました。浅野さん、今日はありがとうございました。番組への質問や感想などはsuguowa@tfm.co.jpまでドシドシ送ってください!

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構成・文 廣田喜昭

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