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独自路線を歩むソファ専門店 生活空間演出にも提案の幅を広げる—FLANNEL

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株式会社宣伝会議は、月刊『宣伝会議』60周年を記念し、2014年11月にマーケティングの専門誌『100万社のマーケティング』を刊行しました。「デジタル時代の企業と消費者、そして社会の新しい関係づくりを考える」をコンセプトに、理論とケースの2つの柱で企業の規模に関わらず、取り入れられるマーケティング実践の方法論を紹介していく専門誌です。記事の一部は、「アドタイ」でも紹介していきます。
第4号(2015年8月27日発売)が好評発売中です!詳しくは、本誌をご覧ください。

成熟化したと言われる環境下でも、新たな顧客を創造し、市場を創る経営トップがいます。そして、そこには瞬間的に売れるだけでなく、売れ続けるための全社を挙げた取り組み、さらには仕組み化があります。商品戦略、価格戦略、流通・販路戦略、プロモーション戦略に着目し、売れるためのアイデア、仕組みを解説・紹介していきます


村上 洋介(むらかみ・ようすけ)
FLANNEL プロデューサー、取締役

1976年高知県生まれ。大学在学中から、1997年のブランド設立に携わり、営業、Webデザイン、グラフィックデザイン、プロダクトデザインを経て、現在では、主にマーケティング、商品開発、海外市場開拓を行う。

生活空間演出にも提案の幅を広げる

ソファ専門ブランド「FLANNEL SOFA」は、名古屋で35 年間にわたってソファをつくり続けてきた下請けメーカーから生まれた。国内に自社工場を持ち、座り心地・デザイン性を追求して生み出した43種のソファデザインと170種以上の仕様・カラーパターンを取り揃え、セミオーダーからフルオーダーまで、多様なニーズに応えている。

ユーザー投稿コンテンツ「SOFA LIFE PHOTO」。ソファの購入者に、FLANNEL SOFAがある自宅の様子の写真を投稿してもらう。(一部イメージ写真)

「代表の和田崇の実家がソファメーカーだったのですが、生産拠点が人件費の安い中国へと移っていく中で、既存事業の継続に強い危機感を感じていました。そこで1997年、当時学生だった和田を中心として、アートやデザインに関心のある、情報感度の高い人々をコアターゲットに据えたFLANNEL SOFAを立ち上げました」と取締役の村上洋介氏は話す。現在は、ものづくりを司る製造部を和田氏が、マーケティングを担う販売営業部を村上氏がそれぞれ統括している。

FLANNEL SOFAの特徴は、ソファの製造販売はもちろん、張り替え・修理といったアフターケアまで一貫して手がけること。長年にわたって培ってきた、ソファづくりの技術があるからこそ実現できる体制は、家具店やインテリアショップとは異なる「ソファ専門店」ならではの強みだ。

「家具業界において、メーカー直売はこれまで“ご法度”でした。とは言え、下請けメーカーとしての仕事が減る中、企業規模を縮小しながらも業態を完全に切り替えたことで、業界内のしがらみから解放され、独自路線を歩むことができました」(村上氏)。

「SOFA LIFE PHOTO」をはじめ、Webコンテンツの量と質を重視。

当初は20代が中心だったターゲットは、現在は30~50代と、やや高めの設定となっている。これはブランド全体で商品単価が上がったため。オリジナルソファの開発経験がほとんどなかったところから、徐々に技術を磨き、商品開発力を高めることで、よりクオリティの高い、高単価の商品づくりへと移行してきたのだ。2005年頃までは、比較的安価なラインも残していたが、2009年には現在の価格帯の商品に完全移行した。

創業当時と変わらず、デザインに敏感な人をターゲットとしたプロダクトの開発に力を入れつつも、幅広い人に受け入れられるブランドを目指しており、年に2台ほど発表する新作のうち、一方はエッジの立ったデザインを、もう一方はよりベーシックなデザインを意識している。「製品開発にあたっては、景気や住宅着工件数、物価の変化など、世の中の動きにも配慮しています。また、家族間のコミュニケーションを重視する風潮など、人々の価値観や潜在的欲求の変化にもアンテナを張っています。リビング=ダイニング間に置いて家族のコミュニケーションを深めることを意図したデザインのソファ『PIVO』は、ファミリー層から大変好評です」。FLANNEL SOFAのつくるソファのうち、9割以上がホームユース製品だという。

FLANNEL SOFAのブランド戦略として特徴的なことの一つに、セールも値引きも一切行わないことが挙げられる。「ソファの売上は、景気に大きく左右されます。しかし、もともと20万円で発売した商品を、景気が悪いから値引きして売る、ということはしないようにしています。景気が悪いときには、売価を低く抑える商品開発を行う。景気に合わせた価格帯のものをつくるという発想です。セールや値引きをしたときにしか売れないブランドには、したくないのです」と村上氏。

「続きは100万社第4号本誌をご覧ください」


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