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コラム

都市を未来へと動かす「シビックプライド」

都市の未来は開かれている

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シビックプライド研究会 伊藤香織

「まちをより良くするために、自分自身がかかわっているんだ!」そんな都市に対する市民の誇り=「シビックプライド」は、市民一人ひとりに行動する力をもたらし、また都市を未来へと動かす推進力ともなります。
全国数多くの自治体でもシビックプライドを掲げた取り組みが見られる中で(表1参照)、9月に新刊『シビックプライド2【国内編】-都市と市民のかかわりをデザインする』が発売となりました。なぜ、本書を上梓するに至ったのか。監修を行ったシビックプライド研究会代表 伊藤香織氏(東京理科大学教授)に聞きました。

『シビックプライド2【国内編】—都市と市民のかかわりをデザインする』が9月1日より発売となった。『シビックプライド』の続編。

第1弾『シビックプライド-都市のコミュニケーションをデザインする』はヨーロッパ都市の事例を集めた。

表1 全国数多くの自治体でもシビックプライドを掲げた取り組みが見られている。

私たちシビックプライド研究会の書籍『シビックプライド2【国内編】—
都市と市民のかかわりをデザインする
』が出版されました。

タイトルに「2」とついていることから推測できると思いますが、2008年に出版した『シビックプライド—都市のコミュニケーションをデザインする』という書籍の続編です。

シビックプライドとは、都市に対する市民の誇り・自負のこと。

前著の出版まで国内で「シビックプライド」という言葉を見聞きすることは皆無でしたが、7年後の現在、あちこちで使われるようになっています。

行政でも民間でも個人でも、まちで活動している様々な人たちが、自分の気持ちや自分たちの活動の原動力を「なるほど、シビックプライドと呼べば良いのか」と思ってくれたのだと思います。

前著では、主にヨーロッパの都市におけるシビックプライドを醸成するコミュニケーションのデザイン事例を紹介しました。

ヨーロッパの都市自体もそれを伝えるデザインもとても魅力的で、今でもある種のお手本を示してくれます。

一方で、制度や組織形態も市民意識も、私たちの慣れ親しんだものとは異なるので、私たちなりのシビックプライドがどのように展開しうるのかを知りたくなったのです。

それが、このたび国内編をつくるに至った動機のひとつです。

国内の取り組みを調べていくうちに、魅力的な活動をしている人たちを知ることになりました。

本書では、そうした取り組みを取り上げる中で、どのようにして周りの人たちのシビックプライドを喚起し、まちの未来をかたちづくる主役にしていくのか、を探っていきました。

この書籍を通して、都市の未来は私たちに開かれている、ということを伝えたいと思います。

国内でもシビックプライドを醸成するコミュニケーション事例が次々と出てきている。(本書抜粋)
本書で紹介する事例:都市フォントプロジェクト〔名古屋市・横浜市〕/上古町商店街〔新潟市〕/「わいわい!!コンテナ」プロジェクト〔佐賀市〕/富山ライトレールのトータルデザイン〔富山市〕/水都大阪フェス〔大阪市〕/工芸の五月〔松本市〕/仏生山まちぐるみ旅館[高松市]/柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK)[柏市]/松本山雅FC[松本市]ほか

伊藤 香織(いとう・かおり)
1971年東京都生まれ。東京大学大学院修了、博士(工学)。東京大学空間情報科学研究センター助手などを経て、東京理科大学教授。専門は、都市空間デザイン/空間情報科学。著書に『シビックプライド—都市のコミュニケーションをデザインする』(共著、2008 )、『まち建築:まちを生かす36 のモノづくりコトづくり』(共著、2014 )など。まちの活性化・都市デザイン競技で国土交通大臣賞(2012)など受賞。2002年より東京ピクニッククラブを共同主宰し、公共空間がもっと創造的に使いこなされるためのプロジェクトを国内外の都市で開催。2014年にグッドデザイン賞受賞。