【前回のコラム】3限目「先生!大学の広報って何をするんですか?」「オープンキャンパスの売りのコンテンツは何ですか?」はこちら
「片岡英彦の芸術大卒は武器になる」本日のアジェンダ
- 企画をパクるのはいけないことですか?
- 「パクり」とはオリジナル作品を下手に「マネる」ことですか?
- 先生はアイデアをパクったことありますか?
- あえて「パクる」と、うっかり「パクる」の違い
- パクりとインスパイアとの境界線は何ですか?
- 「パクる」ならば堂々と、相手をリスペクトしつつ、最大限のオリジナリティと付加価値を加えること
東北芸術工科大学の企画構想学科で戦略PRや企画構想に関する教鞭を執っている。最初のうちは学生との交流もぎこちなかったが、半年も経つとしだいに馴染んできた。
今、クリエイティブ業界で問題となっている「パクり」について学生から質問された。世間で批判されていることを、そのまま「いけないこと」だと学生に言うことはたやすいが、「インスパイア」(インスピレーションの動詞形)との境界線になると答えは難しくなる。私は答えに詰まった。
(※ここでは著作権侵害など法律的な要件とは別に考えてみたい。)
先生!企画をパクるのはいけないことですか?
企画構想をする際に、用語辞典などで関連する言葉を引いて語源などを調べることが私は多い。
ぱく・る 〔「パクり」 「ぱくぱく」などの「ぱく」を動詞化した語〕
(1)大きく口をあけて食べる。ぱくぱく食べる。 「池の鯉がえさの麩(ふ)をさかんに-・っている」
(2)商品や手形などを,だまし取る。盗む。 「手形を-・る」
(3)他人のアイデアを剽窃する。 「メロディーを-・る」
(1)大きく口をあけて食べる。ぱくぱく食べる。 「池の鯉がえさの麩(ふ)をさかんに-・っている」
(2)商品や手形などを,だまし取る。盗む。 「手形を-・る」
(3)他人のアイデアを剽窃する。 「メロディーを-・る」
出所:三省堂 大辞林
今話題になっている「パクる」は、上記の3番目の用法にあたる。類語を調べると「エピゴーネン」という言葉がみつかった。「模倣者」、「亜流」、「身代わり」などの「パクり」と言われる行為の意味合いは、この「エピゴーネン」に近い。
先生!「パクり」とはオリジナル作品を下手に「マネる」ことですか?
「模写」も「パクり」になるのですか?
では、絵画などの世界では他者の作品を忠実に再現する「模写」も「パクり」にあたるのか?
「ひまわり」で有名なあのゴッホが、こんなふうに浮世絵をそっくり模写していたってこと、ご存知でしたか? 彼はこうして浮世絵を真似ることで、その構図、色彩感覚、線描画法といった描画技術を学んでいたのです。(略)こうした日常の印象的な一場面を写真のように瞬間的に捉えるのが浮世絵の特徴で、それはそのまま「印象派」の技法にも通じるのです。
「技法」を学ぶ(場合によっては普及・保存する)ための行為が「模写」とされている。「パクり」と「模写」との違いがしだいに分かってきた。