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コラム

澤本・権八のすぐに終わりますから。アドタイ出張所

「自分の価値とクオリティって、イコールではないんです」(ゲスト:武井壮さん)【後編】

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自分の価値とクオリティはイコールではない

中村:芸能活動をやるなかで、広告って「それ、やんなきゃダメかな」みたいなこともあると思います。商品持ってニコッと笑ってじゃないですけど。武井さんは、広告に出られるときに「それは自分と路線が違う」と思ったりします?

武井:そんなことないです。広告は一番必要なものだと思ってます。だって、僕がテレビに出るのは僕自身の広告ですからね。武井壮の広告とは“百獣の王” 武井壮ですから。僕が人々に喜ばれて、武井壮を見たいというのは商品が欲しいというのと一緒です。武井壮を見たい人が増えるから視聴率が上がるとか、武井壮が面白いという人が増えるからネットでの影響が増えるわけで。これは僕の広告を僕にやらしているわけですよ。

権八:おっしゃる通りですね。

武井:会社の人は自分達のつくった最高だと思っている商品をたくさんの人に届けるために、届いた先で喜んでもらうために商品のクオリティを上げて、それをたくさんの人に手に取ってもらうために広告をつくるわけじゃないですか。うちの商品をこの人に背負ってもらいたいというアイデアを、僕に振ってきてくれるなんて、こんなにうれしいことはないですよ。

中村:なるほど。

武井:タレントとしての最高の栄誉みたいなもので、それを僕が数多くの人にプレゼンテーションできる力があるならばやらせていただきたいと思う。だから、広告をやるときはいただいた案件に対してアイデアや絵コンテを見て、自分だったらこうしたいと意見も言わせてもらうし、こういう画どうですか?と提案もします。できあがったCMでいい評価をしてもらったときは「よし!」と思いますし。それがまた次に繋がったりもするので、やらされている感はゼロですね。

権八:そういう風に言ってくださる方もいるけど、やはりそう捉えてらっしゃらない出演者の方もいますよね。ぜひ、みなさんに聞いていただきたい(笑)。

澤本:武井さんの話って真剣に聞いてしまうじゃない。これは本気だからだね。そこに嘘の欠片がないから真剣に聞いちゃう。武井さんはツイッターで色々な人の人生相談にのっているじゃないですか。なんでLIKEが5000や1万も行くんだろうと思ったら、やっぱり武井さんが本気で答えてるからですね。

武井:本気にならざるをえないのが今の状況だと思いますよ。僕は日本一にもなったのに何にもなかった時期を過ごしているので、自分の価値が自分のクオリティとイコールじゃないということをもう知っているんですよ。記録の高さとか成績だけを上げれば自分の価値が高まるという単純なことだとは思っていない。

自分の価値を高めてくれるのは見てくださる方、受け取ってくださる方なので、そういうものは芸能界に入って、後でつけていただいたんです。僕の30代は本当に大した価値がなかったし、今と同じことを言っていたのに誰も僕の話を聞いてくれなかった。「お前何もねーじゃん」って。

テレビに出させていただいて、面白いと言っていただいたことで今の価値が生まれているので、全部、人からもらった価値だと思ってます。ほとんどの商品もサービスもそうじゃないですか。人が手にしなければ何の価値もないもの。世界最高のクオリティの商品をつくったって誰も買わなければ1円の経済効果もないわけで。僕はそこが全てだと本当に思っているので、何の偽りもなく、そう言えますね。

自分を磨くことと、価値を高めることは別の作業です。当然こういう仕事をしている限り、自分のクオリティは高めなければいけないけど、それは会社員が毎日会社に行くみたいな当たり前の作業で。そこから先にどんな素敵な仕事をするかというのがお仕事。だから僕らの仕事は人前に出るときにたくさんの人が喜ぶ形、笑顔になる形でなるべくやると。

澤本:俺、今泣きそうになっちゃたよ。こんなに熱意を持って本当のことを語られると、人間ってウルッときちゃうのね。

人生のテーマは「地球上で楽しめる面積をどれだけ増やせるか」

武井:まだまだいきますけどね、俺。40代でボーリングとビリヤードとゴルフとボールゲームのプロの資格を全部獲ってやろうと思ってるんですよ。そしたら面白いじゃないですか。ゴルフは世界中ゴルフ場があって、地球上どの国に行っても遊べる最高の遊びでしょ。だから自分の楽しみを地球上で楽しめる面積を増やしてくれるスポーツですよ。

中村:なるほど。

武井:ビリヤードはフィリピンに行ったら国技みたいになってますから。そしたら試合に毎週出られたりするし。俺フィリピン行ってもメシ食えるぜ、みたいな。アメリカでも試合あるし。ボーリングだって、ヨーロッパやアメリカで結構盛んに行われている。だから、地球上で自分が楽しめる面積をどれだけ増やせるかというのが、人生の夢というかテーマです。

それはみなさんのお仕事もそうだと思う。すごく楽しそうに見えるんですよ。商品とかプロジェクトとかを広告として、世の中にたくさん広めて、それがビッグプロジェクトになって大成功したら、自分の喜びが増えるわけじゃないですか。そしたら、またもっと大きな案件を任されたり、地球規模のものができたりしていくわけで。こんな楽しい遊びねーなと。広告クリエイターをいつかやりたいんですよ。

中村:あっという間にお時間です。武井さん、最後に今回のコラボの感想をお願いします。

武井:「シューカツの王」もそうだけど、まだ夢が見つかってないとか、どんな仕事をしたらいいかわからないとか、自分が本当にやりたいことがわからないという子が多いんですよ。大人でもそういう人が多かったり、仕事つまんねーとか言っていたり。僕はそういう人達に比べて長けているところがあるとしたら、楽しむ力が半端じゃなく育っているところで。

昔は僕もそうだったんです。でも、大人になって、勉強して、体鍛えて、色々な人と話して、色々な知識が増えてきたら、どの仕事も全部楽しそうに見えてきて。だから俺は何の仕事をやっても楽しめちゃうんですよ。

中村:そう言えるってなかなかいませんよね。

武井:俺は動物のことも知ってるし、海外のこともわかるし、英語もしゃべれるようになったし、地球上どこへ行っても楽しめる武井壮に近づいてきています。明日、素っ裸でどこかの国にポトッと落とされても、半年後にはまぁまぁ豊かに暮らしている自信がある。

澤本:それはすごい。

武井:だから、地球を楽しむ力は地球上で俺は最強レベルじゃないかと思ってます。地球は楽しみが半端じゃなく詰まってるのに、それを感じないのは、世の中がつまらないんじゃなくて、自分の楽しむ力がまだ弱いだけだというのをみんなに感じてほしい。楽しむ力を増やすのは自分が身につけてきた何かでしかないというのをわかってもらえたら。

自分の人生の毎日の1時間だけを使うだけでも夢は叶うよと、さらにメッセージとして伝えたいなと。みなさんが広告業界でたどってきた足跡もそういう何かを楽しめる力が元だったと思う。ほとんど同じような意見が「シューカツの王」でも出てきたし、夢を叶えている人たちが共通して持っている、周りのことを面白い、楽しい、興味あるものにする力がみなさんにもあるなと感じた次第であります。

中村:ありがとうございます。これを聞いたリスナーもぜひ、1時間でいいから何か。

武井:最初は10分でいいんですよ、本当に。何かやってほしいなと思いますね。今日は全然、すぐに終わらなくてすみませんでした(笑)。

<END>

構成・文 廣田喜昭