日本の広告主と広告代理店がこれから直面していく「イノベーションのジレンマ」とは?

【前回コラム】「広告大量投下だけでは勝てない時代に重要な3つのテーマを、ドン・シュルツ教授の講義から考える」はこちら

顧客の声を聞けば聞くほどデジタル化は不要?

前回のコラム

では、ワールドマーケティングサミットのドン・シュルツ教授のセッションを元に、広告大量投下だけでは勝てない時代に重要な3つのテーマについて考察しました。

ただ、最後に書いたようにこの議論の上でポイントになるのは、日本においては依然としてテレビCMが非常に強い影響力を維持しており、ソーシャルメディアの普及率も低い上に高齢化社会でもあるため、米国ほど「デジタル化するか死か」という実感が、企業経営者の間で湧きにくいという点です。

この構造は、ワールドマーケティングサミットにおけるコトラー教授の「デジタル化するか死か」という問題提起を軸に考えると、日本企業に典型的な「イノベーションのジレンマ」的な状況をもたらしている可能性が高いと考えられます。

写真:H&Kグローバル・コネクションズ

例えば、シニア層は引き続き、テレビを長時間見ている上に、消費の中心でもあります。一方、若い世代がソーシャルメディアを使いこなしていても、たいして消費に貢献していません。そうすると、日本企業は論理的には従来のマスマーケティングをこのまま続けていても短期的にそれほど問題はないということが言えてしまいます。

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徳力基彦(アジャイルメディア・ネットワーク 取締役 CMO ブロガー)
徳力基彦(アジャイルメディア・ネットワーク 取締役 CMO ブロガー)

徳力基彦(とくりき・もとひこ)NTT等を経て、2006年にアジャイルメディア・ネットワーク設立時からブロガーの一人として運営に参画。「アンバサダーを重視するアプローチ」をキーワードに、ソーシャルメディアの企業活用についての啓蒙活動を担当。書籍「アンバサダーマーケティング」においては解説を担当した。

徳力基彦(アジャイルメディア・ネットワーク 取締役 CMO ブロガー)

徳力基彦(とくりき・もとひこ)NTT等を経て、2006年にアジャイルメディア・ネットワーク設立時からブロガーの一人として運営に参画。「アンバサダーを重視するアプローチ」をキーワードに、ソーシャルメディアの企業活用についての啓蒙活動を担当。書籍「アンバサダーマーケティング」においては解説を担当した。

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