6、企業と同じスピード感や堅実性を持つ
一部のNPOに欠けているのは、企業と同じスピード感や書類の堅実性などです。企業の方に「なぜ、数あるNPOの中でこの団体と連携することを選んだのですか?」と訊ねたとき、「企業のことを理解してくれるから」という答えがありました。企業はメディアに取りあげてもらうのに長けています。それを狙うのが本筋ではありませんが、企業のメディア露出にひもづいてメディアに取り上げられる可能性も高まります。
7、オープンマインドを持つ
メディアの方は、9−17時というオフィス時間だけで活動しているわけではありません。あまりに非常識に朝早くや夜遅くは論外ですが、オフィス時間以外でも連絡がとりやすいように、NPOの窓口の方の携帯電話番号を教えておいてあげると親切です。また、取材や撮影のお願いが突如として来ることもよくあります。そのようなとき、これもあまりに取材先の都合を考えないのは論外として、興味を持ってくださって連絡してきたメディアの方を快く受け入れること。無理だとしても、難しい理由を述べた上ですぐにお断りすると、メディア側も助かります。
それから「こういうふうに取り上げてくれないと困る」と意固地になる姿勢も、あまり好ましくありません。広告であれば、費用負担者(出稿者)に編集権がありますが、広報の場合、編集権を持つのはメディアです。中には事実と異なるような報道をされてしまうケースもありますので、それにはもちろん異議を述べることになります。NPO側は、素材を提供し、切り口はメディアにお任せするくらいでもよいと思います。
8、悪い広報は「親バカ広報」良い広報は「担任教師の広報」
広報セミナーである女性の雑誌編集長が、「悪い広報は親バカ広報、良い広報は担任教師の広報」とおっしゃっていました。悪い広報は「うちの○○がね。うちの・・・」と、自分の組織のことしか語ることができない。良い広報は、業界全体から見て自分の組織の良い点と不十分な点を客観的に、俯瞰して語ることができる。自社情報はもちろん、業界全体、社会全体を語ることができる。なのでメディアも“この分野ならあの人”と頼りにしやすい」とのこと。広報の方向けの講演でよくこの話を取り上げます。2と4にも通じますね。
「うち、広報いないし・・」という言葉もよく耳にします。でも、組織のメンバーは、いわば全員が「広報パーソン」なのです。外から接する人は、担当部署に関わらず、その人を見て、その団体のことを判断するわけですから。
9、ノウハウより魂
・・・と、このようなhow toを書いておきながらなんですが、結局、NPOで働く人の熱量(熱意)や魂のようなものが一番大切なのではないかと思います。逆に、ノウハウだけ知って、手っ取り早くメディアに・・・などと楽な方法に走れば、たまたま運良くメディアに取り上げられたとしても、組織や個人のキャリアの継続的な成長は見込めないでしょう。
10、メディアにとりあげてもらうことを目的化しない
メディアに取り上げられることは、その団体の目的ではないはずです。
もっと支援者を増やしたい。寄付を幅広い人からいただけるような体制をつくりたい。などといった、本来の目的を達成するための、一手段が、メディアで知らせることだと思います。
以上、この10カ条がどなたかのお役に立てることを期待して、私のコラムを完結させたいと思います。3回のコラムを読んでいただき、ありがとうございました。
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