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コラム

渡辺潤平の「非進化論」〜自分にできることだけをしっかりやる、という仕事論。

#非進化論5:代役なき名人芸の裏に、日々の地道な努力あり(ウグイス嬢・谷保恵美さん)

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今回の仕事人
今回たずねた仕事人は…千葉ロッテマリーンズ・谷保恵美さん

今シーズン限りでユニフォームを脱ぐ、一人のプロ野球選手がいます。千葉ロッテマリーンズ、サブロー選手。「つなぎの4番」として二度の日本一に貢献した名外野手は、本拠地でのアナウンスがあまりに有名でした。
「4番 ライト サブローーーーーーー!!」
「ロー」が異様に長い、独特な節回しのアナウンスに、多くのファンが心を躍らせ、声援を送りました。プロ野球ファンの間ではあまりに有名なこのアナウンスを、もう20年以上も担当し続けている、千葉ロッテの本拠地・QVCマリンフィールドのアナウンス担当、谷保恵美さん。
非進化論スタート当初から、谷保さんにはぜひお話を伺いたいと考えていました。ひとつの道を信じ抜いて、そこで自らの技術を磨き続ける。僕なりの仕事へのこだわりと、谷保さんの仕事に対する向き合い方は、どこまで重なる部分があるのか。プロとしての気持ち半分、ファンとしての気持ち半分で、お会いしました。

2軍スタートから始まった場内アナウンス

渡辺:まずは、千葉ロッテに入社したきっかけを教えてください。

谷保:入社したのは、本拠地がまだ川崎球場だった頃、ロッテオリオンズの時代です。地元の北海道で野球部のマネージャーをしていて、大学のリーグ戦で場内アナウンスをしたことがあったんです。声を出すことも好きでしたし、ウグイス嬢に憧れもあったので、大学卒業後は北海道の社会人リーグや高校野球にお願いして、アナウンスをさせてもらっていました。そんなことを続けていくうちに、「これを職業にしたい」という思いが強くなって。職業にするにはプロ野球の球団しかないので、いろんな球団とお話をさせていただいたんです。それで、ご縁があってロッテに入社しました。

渡辺:それは、ウグイス嬢としての採用だったんですか?

谷保:いいえ、まずは球団職員としてです。人数が必要な仕事でもないですし、すでに場内アナウンスを担当されていた先輩もいらっしゃったので、「チャンスがあればやらせるよ」という感じでした。先輩がたまたま辞められて、2軍のアナウンスをしていた同僚が1軍のアナウンスをするようになって、「2軍のアナウンスをやってみるかい?」と声をかけてもらえたんです。

渡辺:選手と一緒ですね。

谷保:そうです。2軍スタートです(笑)。

渡辺:1軍のアナウンスを担当されたのは、本拠地が千葉に移転してからですか?

谷保:専属としては、そうですね。ただ、2軍から1軍に上がった同僚も経験が浅かったので、その当時から交代で1軍のアナウンスをさせていただいていました。

渡辺:自分がアナウンスをすると決まった時の感情は、覚えていらっしゃいますか?

谷保:入社するタイミングで上京しているので、親には2、3年でアナウンスができなかったら北海道に帰るって話していたんです。なので、入社して2年目でアナウンスができた時は嬉しかったですね。

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