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コラム

アンバサダー視点のススメ

広告がブロックされてしまう時代に、広告主の姿勢はどう変わるべきか

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広告がブロックされる時代のもう一つの選択肢

例えばスバルでは栃木県の実験センターで2000人のファンとファンミーティングを開催しているそうです。

ある意味、既存顧客というのは既にスバルの車を購入した人であり、今すぐ車を買ってくれる新規顧客ではありません。ただ、既存顧客とのコミュニケーションに力を入れることで、既存顧客がスバルのファンになってくれれば、当然ながら車を買い替える際にまたスバルを選択してくれる可能性が上がりますし、ファンがほかの顧客を連れてきてくれる可能性もあるわけです。

既存顧客であれば、スバルからの「広告」メッセージを、「ノイズ」としてではなく「情報」として受け取ってくれる可能性が上がります。こうした既存顧客とのコミュニケーション強化も、ある意味広告がブロックされてしまう時代の一つの選択肢と言えるように思います。

スバルでも新規顧客獲得のためのテレビCMは実施しており、ネクストストーリ推進室がファンミーティングに注力できるのは、それが主目的の部署だからという点は重要です。

岡田さんとしても、こうしたいわゆるファンとの「エンゲージメント」を重視した取り組みにどういう効果があるのかという点については、参加したファンのアンケート結果や、ソーシャルメディア上の書き込みの量や質を見ながら試行錯誤を続けられているそうです。

また、このスバルのファンミーティング同様に、リアルのコミュニケーションというアプローチも、広告ブロック時代の選択肢の一つとして試行錯誤が始まっています。

セッション当日も、ケロッグの五味田さんからは、ケロッグが「オールブラン」のプロモーション活動の一環で取り組んでいるオールブランアンバサダープログラムにおいて、ケロッグがアンバサダーとイベントなどのリアルでのコミュニケーションに注力している話が紹介されました。

参考:アンバサダープログラムを取り入れて売り上げ25%アップの成果(日本ケロッグ)

ケロッグではアンバサダープログラムを通じて、ソーシャルメディア上でのアンバサダーの声の可視化や広がりによる広告効果を期待しているのはもちろん、アンバサダーの声を元に店頭販売用のPOPを作成し、スーパーの店頭などにおけるリアルな売り場における効果の模索もされているそうです。

また、ヤマト運輸の阿部さんは、前述の宅急便コンパクトのプロモーションの一環で、巨大なクロネコを新宿などの地下街などのリアルな場所に出現させることによって、顧客にコンパクト便をリアルに体験してもらう取り組みに挑戦されました。

参考:全身モフモフ!全長6mの巨大クロネコが新宿駅に出現ーヤマト運輸新キャンペーン

動画を見てもらえればわかると思いますが、あまりの巨大クロネコのインパクトに、新宿では行列規制をしなければいけないほどの盛り上がりを見せたそうです。これはヤマト運輸の宣伝である「広告」の一つであるということもできますが、一方でリアルの実際の体験を軸にした「コンテンツ」ということもできます。

体験した人たちが皆さん笑顔になっているのでわかるように、実は「広告」行為であっても、こうした面白い体験を軸にすれば、ブロックされるどころか顧客の方から積極的に行列をしてでも参加してくれる可能性が出てくるわけです。

当然、お三方ともこれらの取り組みは試行錯誤の過程であり、この一つ一つの取り組みが広告ブロックに対する正解になるわけではありません。

ただ、広告がブロックされてしまう時代において広告主が心がけることとして、この3社が取り組んでおられるような、「広告」を顧客にとってのノイズではなく「コンテンツ」にすること、リアルのコミュニケーションを組み合わせていくこと、というアプローチは一つのヒントになるのではないかと思います。