【前回】「映画監督と広告人による、超アナログ的な制作の秘密「ふたりは なかよし」(後編)」はこちら
今回の電通デザイントークは、コトバの山本高史さんの最新刊『広告をナメたらアカンよ。』を読んだ有志の熱き思いから企画しました。広告界では常に「新しく、若い才能」が求められている一方で、広告ビジネスが複雑化し、コンサルタントやパートナーとしての成熟した視点も求められています。そんな状況の中、自分なりの仕事の見つけ方、戦い方をどう形づくっていけばいいのか?「オヤジ世代の“側に合わせる”のはナンセンスだけどさ…」とつぶやく山本さんと、オヤジ仲間で、のみ仲間でもあるグリッツデザインの日高英輝さん、山本さんが指名したワカモノ代表の電通の三島邦彦さんが語り合う座談会の前編です。
オヤジになって「良かったこと」は?
山本:
今日の座談会のタイトルは「オヤジフェス」です。オヤジという存在には“ダメなところ”と“ダメじゃないところ”があると思っています。「昔は良かった」「近頃の若者は…」と言いながら、自分のことを語る姿はあまりカッコいいものではない。
一方で僕は、年を取れば取るほど自分の仕事が良くなっている、という確信も持っています。今日はそういうポジティブな「オヤジ論」を展開していきたいと思います。
日高くんもオヤジですが、年を取って良かったことはありますか?
日高:
自分のことをオヤジと言うのはすごく嫌なのですが、実際にはオヤジと呼ばれる年齢になりました。
僕は会社を経営しているので、目の前に立ちふさがる現実や、業界におけるさまざまな事情と対峙せざるを得ない。そんな時に今まで手掛けてきた仕事や立ち位置を冷静に見極めて、自分と対話できるようになったことは年を取ってきた良さかなと思います。
山本:
逆にオヤジになって悪かったことは?
日高:
階段を上るときに息が上がるとか(笑)。
仕事の面でいうと、クライアントの部長や課長よりも上の年齢になってしまったことですね。やはり年上に仕事はお願いしづらいわけで、今後は依頼されづらくなっていくのかもしれないとリアルに感じています。

