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コラム

ビデオコミュニケーションの21世紀〜テレビとネットは交錯せよ!〜

ネット広告はもう一度「広告」にならないといけない(これ、だいじな話!)

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【前回】「「ネットのコンテンツだから安いよね」というイビツな常識をわれわれは叩きつぶせるか?」という話」はこちら

このところメディアは揺れています。それとともに広告も揺れています。揺れても広告はなくなったりはしませんけど、これまでと「あり方」が大きく変わりそうです。

その「これからのあり方」が頭の中でようやく整理できてきたので、今日はそれをみなさんに開陳します。正しいかどうかわかりませんが、方向性としては誤ってはいないと思います。すごくだいじな話なので、よーく読んでくださいね。

ネット広告って、そもそも“広告”なの?

最初はすごーくイヤな話から入ります。特にネット広告を舞台に仕事してきた人は、顔を真っ赤にして怒るかもしれない。でもここから話さないと始まらないので書きますね。

例えばFacebookを眺めていた時、誰かが気になる記事を投稿していたとします。読みたいなと思って開くと、こんなことになっている。

これ、どっちも実際のページをキャプチャーしたものをほぼトレースして作った図です。本当にこんなのいっぱいあります。

説明は要らないと思いますけど、簡単に触れると、左側は記事を読むつもりで開いたらどれが見出しで記事本文かわからないくらい広告で埋め尽くされている。それでも記事本体を見極めて、続きを読もうとするとうっかり広告枠に触っちゃってワケのわからないページに飛ぶ。腹が立ってもう読むのやめちゃいます。

右側は、記事を開いていちばん上の見出しを読んでいると動画広告が覆いかぶさってきて添えられた画像も見えなくなっちゃう。読ませる気がないのかと苛立ちながら、右上の閉じるボタンを押そうとすると間違って動画広告が全面表示される。

どちらも腹が立って腹が立って、そのメディアそのものを二度と読むかという気になります。その上、動画広告が立派なブランドのものだったとしても大嫌いになる。ちなみにどちらも立派なメディアのページですよ。立派なブランドが立派なメディアで、こんなに不愉快な広告表示をしているんです。

こんな広告表示、誰にもいいことない。読者は不愉快な思いをするだけ、メディアもブランドも嫌われるだけ、三方一両損どころか百両も千両もみんなで損してる。一体何やってるんでしょう?

なんでこうなっちゃうのかと言うと、PC中心の時代と同じ感覚で広告枠を採用しちゃうからです。表示面積が広いPCのウェブサイトには、一つのページの中にいくつもの広告枠を載せられました。

でも同じことはスマートフォンの小さな画面では成立しない。それどころか、商品のブランドを毀損しかねない。メディアの価値さえも壊しかねない。そのことをみんな自覚すべきだと思います。

そしてこれはスマートフォンによって顕在化した、ネット広告がもともと孕んでいた危うさだと思います。そもそも、ネット広告は“広告”だったのでしょうか。

ネット広告は、考えてみると無神経な仕組みだったんです。ページを読んでいる人に「はい」と商品を差し出す。それしかしない。(そのことはこの連載の12月の記事で書いたので、もう一回読んでもらうとわかりやすいです。参考:『逃げ恥』のヒットから考える「広告とはそもそも、心を動かすコンテンツではないか」という話

でも本来の広告は、商品を差し出すだけではない。この商品はこんなことであなたに役に立つかもしれない、などと切々と訴えるものでした。「態度変容」が役割の中に含まれていたんです。相手の気持ちを変えるのが、そもそもの目的だったはずなんです。

コピーライターは、商品の良さをあの手この手で言葉にして、なるほどそれなら欲しいかも、と思わせる仕事でした。商品のたんなる説明ではなく、目を開かせる「新たな価値付け」をするのが広告だったのです。

ネット広告は広告のそういう側面をあらかじめ持っていませんでした。すでに欲しいと思っているだろう人に“ターゲティング”して商品を差し出すから効率いいんです、という立て付け。興味がない人を惹きつけることは範疇外。だから基本的に無神経です。

「あんたこれ、欲しいはずでしょ?え?違うの?あ、そう」

そんな仕組みだったんです。その無神経さがスマートフォン上では際立ってしまう。だからさっきの図のようなことを平気でやっちゃうんです。でもPCでは通用してもスマートフォンでは逆効果なんです。0.1%、1000人に1人が反応したとして、残りの999人が不快になっても気にしないんですから。

だからね、ネット広告はもう一度“広告”にならないといけないんですよ。

では、どう考えればいいのでしょうか。

次ページ 「YouTubeが推奨するHHH戦略を応用する」へ続く