「100万社のマーケティング」2017年3月号では、「『販路』選びは、顧客ターゲットから考える!」をテーマに特集を組みました。本記事では、明確なターゲット設定のもと、戦略的に販路を選び取り、ブランドのポジションを確立した事例として、石屋製菓「白い恋人」の販路戦略を紹介します。
1976年の発売から40年、北海道土産の定番として安定した人気を保っている菓子「白い恋人」。石屋製菓の看板商品だ。ホワイトチョコレートを薄く焼いたラングドシャクッキーで挟んでおり、口の中にやさしい甘さが広がる。「大自然と食の恵みが豊富」という北海道のイメージと、その味はぴったり重なる。
しかし、「北海道銘菓」としてのブランド力は、商品自体の魅力だけで確立できたわけではない。そこには確固とした販路戦略があった。「北海道を訪れた方に、北海道の思い出とともにお持ち帰りいただいている。そこは一貫して大事にしています」と話すのは、石屋商事 営業推進室の池田明課長だ。
同商品がターゲットとしているのは 観光客。当初は「札幌のお菓子」という位置づけだったというが、特約店契約を結んだ道内の土産物店に販路を拡大する中で、「北海道銘菓」としてのブランドイメージが定着していった。「観光や出張で北海道を訪れた人が、旅の思い出として買っていく。そうして自分が住む土地に戻って、家庭や職場などで白い恋人を食べながら『北海道に行ってきたよ』と思い出を共有している。北海道土産のファーストチョイスとして同商品が選ばれていること は当社として嬉しいし、そこをこれからも大事にしていきたいと考えています」(池田氏)。
道外での販路は、国内向けには各地で実施されている「北海道物産展」、およびネット通販に限定されている。「北海道だけで手に入るものが、例えば東京や大阪などにあったとすれば、『北海道の思い出と一緒に持ち帰る』という商品のシチュエーション自体が崩れてしまいます」と池田氏。
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