コンテンツの供給過剰が価値下落を生む?メディアの付加価値を高める5つのポイント

メディアの付加価値を高めるためのポイントを、飲料水の産業化から学ぶ。画像提供: kazoka30 / 123RF 写真素材

コンテンツの供給、加えて広告ビジネスは、「過剰性の経済」ともいうべき段階に突入している。

「過剰性」の対極は、「希少性」だ。希少性を原理とした経済の仕組みは、私たちが慣れ親しんできたもので分かりやすい。需要があり、かつ供給が潤沢でなければ、対価は基本的に下落しない。

だが実際には、その逆の現象にわれわれは向き合い続けている。コンテンツ、あるいはメディアビジネスが、過剰性(つまり、同様のコンテンツが十二分に供給されている状態)の経済の下にあるのだとすれば、メディア運営者、コンテンツクリエーター、周辺の事業者は何をすべきだろうか?

希少性の価値が揺らぐビジネス環境

本稿では、メディアと業界を異にするビジネスに、その解を見い出そうとする論を紹介する。そこからコンテンツの潤沢な供給が引き起こしているのかもしれない、価値下落から反転していく理路を考えてみたい。

※本稿は、2012年に執筆した拙稿「コンテンツに価値を取り戻すために ミネラルウォーター事業に学ぶ5つのアプローチ」を改稿したものです。

希少性の経済から過剰性の経済への移行がもたらす大変化を、見事に喝破したのは『フリー<無料>からお金を生みだす新戦略』を著したクリス・アンダーソン氏だ。

インターネット上では、多くの消費者にとって希少であるべきコンテンツが、無数の同種記事に埋もれてしまうようになってきており、また、話題性のあるコンテンツであれば、おびただしい数の引用記事や複製がそこに連なり、結果としてコンテンツが持つべき価値感が突き崩されている——。

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藤村 厚夫(スマートニュース)
藤村 厚夫(スマートニュース)

90年代を、アスキー(当時)で書籍および雑誌編集者、および日本アイ・ビー・エムでコラボレーションソフトウェアのマーケティング責任者として過ごす。

2000年に技術者向けオンラインメディア「@IT」を立ち上げるべく、アットマーク・アイティを創業。2005年に合併を通じてアイティメディアの代表取締役会長として、2000年代をデジタルメディアの経営者として過ごす。

2011年に同社退任以後は、モバイルテクノロジーを軸とするデジタルメディア基盤技術と新たなメディアビジネスのあり方を模索中。2013年より現職にて「SmartNews(スマートニュース)」のメディア事業開発を担当。

藤村 厚夫(スマートニュース)

90年代を、アスキー(当時)で書籍および雑誌編集者、および日本アイ・ビー・エムでコラボレーションソフトウェアのマーケティング責任者として過ごす。

2000年に技術者向けオンラインメディア「@IT」を立ち上げるべく、アットマーク・アイティを創業。2005年に合併を通じてアイティメディアの代表取締役会長として、2000年代をデジタルメディアの経営者として過ごす。

2011年に同社退任以後は、モバイルテクノロジーを軸とするデジタルメディア基盤技術と新たなメディアビジネスのあり方を模索中。2013年より現職にて「SmartNews(スマートニュース)」のメディア事業開発を担当。

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