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コラム

椎木里佳の「JCJKの生態と欲望」研究所

10代に韓流ブーム到来!その背景にある「クールコリア」戦略を分析してみた

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日本上陸が決定したアイドルユニット「TWICE」。「KARA」や「少女時代」と絶対的に違う点とは

すでに有名になっていますが、最近の10代の憧れの的になっているのが「サナちゃん」という一人の女の子です。

サナちゃんが所属しているのが韓流アイドルグループ「TWICE」。

韓国・台湾・日本など多国籍のメンバーからなるアイドルユニットです。過去の韓流ブームでは「少女時代」や「KARA」などが席巻しましたが、今回のTWICEのブームは少し構造が異なります。

まず、「少女時代」や「KARA」はテレビなど電波に乗ってその知名度を上げていったのに対し、TWICEは日本のテレビには全く出ていません。10代は友人のTwitterやInstagramで彼らの存在を知り、YouTubeで楽曲を聞き、ファッションを取り入れ、再び自らのSNSで再び拡散しています。

「KARA」や「少女時代」との違いはこれだけではありません。大きな進化を遂げたのがSNSです。スマホの普及率が日本は59%に対して、韓国は91%となっており、もともとネット利用が盛んな国です。ファンは彼らのファッションを細かく観察し、使っているアイテムやブランドをInstagramにまとめあげます。TWICE非公式のファンアカウントでも20万人近くのフォロワーがいるのは驚きです。ファン自らが時にテレビ代わりとなり、ファッション誌代わりになる。これも大きな特徴です。

そしてルックスの違いも特徴的です。少女時代は皆スラリとした美脚が、そしてKARAはセクシーなダンスが人気を呼びました。ですが、TWICEは突出した美人がいません。メンバーも少しむっちりしていたり、ファッションなどの嗜好もバラバラです。ルックスも高校生たちでも手の届きそうなかわいさが人気の秘訣。いわゆる「AKB的な共感」と近いでしょう。それにデビュー当時は15、6歳の同世代のメンバーがいて年が近かったことも中高生の共感を呼びました。

10代の間に浸透しつつある韓国文化。以前、私がシンガポールに足を運んだ際にアジアのティーンたちに話を聞いたときも「ドラマもメイクも韓国を参考にすることが多いかな」「日本のカルチャーはあんまりニュースでも見なくなりつつある…」という声が聞かれました。残念なことかもしれませんが、それはある側面で事実なことは否めません。

もちろん、日本の“KAWAII”カルチャーは世界的に注目されています。東南アジア諸国でも日本の雑誌は翻訳され、高い人気を誇っているのは事実です。ですが、原宿はストリートカルチャーとして醸成された文化。一方で、海外輸出を視野に入れ、戦略的に作り上げられた韓流エンタメ。日本が既存の成熟コンテンツを海外へ推し進めている「クールジャパン」戦略ではなく、国を挙げてゼロから作り上げるマーケティング戦略「クールコリア」が世界を席巻する可能性も伺えます。

現在、韓国にとっては最重要市場だった中国では、THAADミサイル配備の影響で韓流エンタメの置かれた状況が厳しくなっているという声も聞こえます。そうなると次に注目を集めるのは日本市場になるのではないでしょうか。今後、アジアの韓流ブームがどんな展開を見せるのか、注目です。